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 JR東日本が東京都内を走る山手線で、自動運転の走行試験を開始した。2027年までの中期経営ビジョンで、無人運転の導入を掲げる。ポスト平成の技術の象徴として、実用化に向けて技術開発を重ねていく考えだが、その「期限」までは10年を切っている。

自動運転の走行試験を行った山手線の最新型車両「E235系」

 1月7日未明には、報道陣に走行試験を公開した。試験では、山手線の最新型車両「E235系」に、開発中の自動列車運転装置(ATO)を搭載。大崎駅から外回りで2周、合計で69キロメートルを無人で走った。運転席に運転士はいるものの、レバーでの加減速はしない。各駅からの発車時に出発ボタンを押すだけで列車が動く仕組みとなっている。

 JR東に限らず、人口減にある日本にあって「運転士不足」という課題は確実に来る未来だ。鉄道各社にとっても技術による労働力の穴埋めなくして、持続可能性は描けない。

運転士がレバー(右)を操作しなくても列車は自動で加減速をし、次の駅に到着した

 7日の試験では、次の駅の手前で列車が停車してしまうケースがあった。それでもJR東の得永諭一郎執行役員は「おおむね順調に試験を終えた。課題を抽出し開発のスピードアップを図りたい」と強調する。すでに無人運転が実用化されている鉄道網としては、東京都の「ゆりかもめ」などがある。ただ高架を走る交通システムと比べると、JR東と山手線が乗り越えるべき課題は多い。駅で定位置に停まるという基本作業はもちろん、地上の線路を走る路線では踏切などで人や物が立ち入る懸念もある。何より、1日500万人以上の乗客を抱える超巨大路線だ。運転士の養成には「時間がかかる」(得永執行役員)とされるなか、明るい新時代を拓くために残された時間はあまりなさそうだ。