「このままでは、中国にのみ込まれてしまう」

 学生たちが、抗議デモを組み、立法院を取り囲んで声を上げ、ついに自制の一線を越えて議事堂になだれ込んだのが18日の午後6時。椅子や机などでバリケードを築いて出入り口を封鎖して立てこもった。

 この衝動的な行動は、警官隊によってすみやかに排除されるはずだった。馬英九(マーインジュウ)総統も、当の学生たちもそのつもりだったろう。だが自身も与党・国民党に属するにもかかわらず、立法院長・王金平(ワンジンピン)氏が「これは院内の問題だ」と発言したことで風向きが変わってくる。

 館の主が事実上「問題ない」と発言している以上、学生らの行動は違法性のある「侵入」ではなくなってしまったのだ。

 台湾では5院(立法、司法、行政に加えて、人事院に相当する考試院、公務員弾劾などを司る監察院がある)が分立しており、立法院の長が拒めば行政権をもってしても容易には強制力を及ぼすことができない。刑事的な違法性に乏しいとなればなおさらだ。

学生たちは立法院にバリケードを築いて占拠し(上)、市民らにも呼びかけて台北市内で大規模なデモを実施した(下)(写真=的野 弘路)

占拠報道が市民感情に火を

 ではなぜ王氏は、馬政権に反逆するように学生擁護に回ったのか。

 2013年9月、王氏は、ある事件をめぐって検察当局に不当に圧力をかけた疑いで党籍抹消の処分を受けた。王氏はこれを不服として地位保全を求める訴訟を提起。9月にはそれを認める判決が出ている。