結果は奏功し、11月のシティーホテル部門の稼働率は同1.5%減の85.6%とやや下がったが、平均客単価は同1508円(11%)増の1万5119円まで上昇した。結果としてホテルの収入は増えている。西武HDにとって2016年は紀尾井町(旧赤坂プリンスホテル跡地)の再開発が完了する節目の年となる。後藤社長が「中国経済の鈍化と米利上げはある程度読めたリスク。中東情勢のように、想定外のリスクこそ本当のリスクだ」と言うように、経営の巧拙が問われる年になる。

物産社長、「資源安は、むしろチャンス」

 海外発のリスクに危機感を募らせるのは商社業界も同じだ。中でも三井物産は純利益の7割を資源・エネルギー関連事業に依存している。それだけに、資源市況の停滞や中東情勢の影響を受けやすい。

 しかし、安永竜夫社長は「むしろチャンスだ」と胸を張る。「資源権益もディストレスト(操業停止や破綻に陥った案件)が市場に多く出るようになり、むしろ割安な価格で買収、参入できる機会が増えているからだ」。採掘コストの低い権益を確保しておけば、資源市況が反発した時にばく大な利益が転がり込む。

 物産は既存の資源権益でも採掘コストの引き下げに向けた設備投資を怠らない。オーストラリアでは昨年9月、英豪資源大手リオ・ティント、新日鉄住金と共同事業体(JV)を通じて運営する鉄鉱石鉱山で、鉱山の拡張と積み出し港の拡張工事がともに完了。増産投資したウエスト・アンジェラス鉄鉱山の年間生産能力は600万トン増え3500万トンに達する。港湾の年間出荷能力は約5割増の2億トン超となった。他の権益でも拡張・効率化投資が進む。

 安永社長は「円安、原油安の恩恵で日本企業全般にようやく頑張れる体制が整ってきた。目先の利益や株価よりも長い視点で考える時期に来ている」という。

 ただ、同社の2016年3月期連連結業績見通しは純利益が前期比21.7%減の2400億円。大手商社では伊藤忠商事(純利益見通しは3300億円)、三菱商事(同3000億円)に次ぐ3位に後退し、4位の住友商事(同2300億円)が迫っている。

 しかも、物産の業績計画の前提となっている原油価格は1バレル56ドル(JCC=日本の輸入原油価格ベース)だ。足元では原油取引の指標となるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)が一時35ドルを下回る場面もあり、業績の下振れ懸念が付きまとう。

 安永社長は「海外の投資家に聞いてもPAT(税引き後利益)の重みは減ってきているように感じる。事業から生み出されるキャッシュフロー(現金収支)やEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)を重視する経営に磨きを掛ける」という。資源安に中東発の地政学リスクが追い打ちを掛ける中、商社も胸突き八丁の経営が続きそうだ。