1997年に英国から返還された際、香港は50年間、高度な自治権を有する特別行政区として社会主義の制度と政策を実施せず、従来の資本主義制度と生活様式を保持するという「一国二制度」が約束された。

 資本主義はもちろん、これまで通り言論の自由も保証されるべきである。だが、現実は異なる。自由はどんどん失われていると香港の人々は感じている。

 2014年9月28日から約3カ月間にわたって普通選挙の実施を求める大規模デモ「雨傘運動」が実施され、世界が注目した。その中心にいた一人、学生運動家の周庭(アグネス・チャウ)氏は2日、自身のフェースブックページで香港の現状を嘆いた。

 「香港はもはや(かつての)香港ではない。名前だけ」

 彼女の投稿は、2万2000件を超える「いいね」を集め、1万3000件近くシェアされるなど、若者を中心に共感を呼んでいる。

台湾総統選挙にも影響か

 香港の次は台湾――。

 台湾と海を挟んだ先にある中国福建省に長く勤務した習国家主席の視線は、確実に台湾を捉えているだろう。昨年11月には、1949年の中台分裂後初めて、トップ会談が実現した。その台湾では今月16日、トップを決める総統選挙が実施される。経済的にも離れがたい存在の中国本土との距離感。詰め寄ってくるであろう中国に対し、次期トップがどう対応するかに注目が集まる。

 現状、親中派の与党・国民党の候補である朱立倫主席の支持率は低く、中国とは一定の距離感を保つ現状維持派の最大野党・民進党の候補、蔡英文主席が支持を集めている。中台トップ会談の後、蔡氏の支持率はさらに上昇した。台湾の人々にとって、中国との距離を縮めるのは本意ではないようだ。

 肥大化する中国とその影響力。言論の自由だけでなく、自治権までもが侵された可能性がある香港の事件は、今月予定されている台湾の総統選挙の投票にも影響を及ぼす可能性がある。