しかし12月下旬に開かれた中央経済工作会議では生産能力の過剰が深刻との指摘がなされたと中国メディアは伝える。中国共産党と政府が翌年の経済運営方針について決める同会議が、なお構造改革が思うように進んでいないことを確認した形で、2016年の目標として、過剰生産能力の削減や不動産在庫の削減が掲げられたという。加えて景気の失速を防ぐため、積極的な財政政策を実行する方針も打ち出している。
財政出動を強化すれば構造転換が遅れるおそれも
過去をさかのぼれば、2008年のリーマンショックの直後に中国政府が打ち出した4兆元(約57兆円)に及ぶ財政出動が、不動産バブルや過剰設備の遠因になっている。中央経済工作会議で打ち出された積極的な財政出動は、急場しのぎのカンフル剤にはなり得るが、経済の構造転換を遅らせるリスクをはらむ。
中国は今年から新たな5カ年計画をスタートさせる。習近平政権として初めて策定し、「新常態」に入ってから初めての5カ年計画だ。経済の構造転換にこれまで以上に力を入れるのは間違いない。その一方で、国際的な影響力をさらに増そうという動きも加速しそうだ。昨年夏の中国ショックはあくまで序の口。今年は中国発のさらなる波乱に身構えておく必要があるかもしれない。
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