写真:Imaginechina/アフロ

 今年も中国経済に世界が振り回される1年になるのか――。2016年最初の取引となった1月4日の中国株式市場はそんな不安を抱かせる値動きとなった。

 上海株式市場の上海総合指数は3296.26と前営業日に比べ6.86%下落。1月1日に導入したばかりのサーキットブレーカー制度が発動し、取引時間を1時間半ほど残したまま取引停止となって終わった。

 サーキットブレーカー制度は上海証券取引所などが昨年12月初旬に2016年からの導入を発表したばかり。同制度は上海や深センに上場する有力企業300銘柄で構成するCSI300指数の騰落率が5%に達した際に取引を停止する。導入最初の取引日に、早速制度が発動した形だ。

 中国市場急落の影響は日本にも及んだ。4日の日経平均株価の終値は前営業日比582円安の1万8450円と大幅安となり、およそ2カ月半ぶりの安値となった。

 中国株急落は1月4日に発表された製造業関連の指標が低調だったことが一因だ。

 中国メディアの財新と英マークイットが発表した12月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は48.2と、11月に比べ0.4ポイント悪化した。好況・不況の判断の分かれ目となる50を10カ月連続で下回っている。

 昨年は6月中旬以降の上海株暴落で、世界の株式市場が動揺した。習近平指導部が目指す年7%前後という成長目標への疑念が膨らんだことが世界同時株安の原因となった。中国の株式市場はその後、落ち着きを取り戻していたが、2016年の取引初日にまたも世界にショックを与えた。

構造転換と安定成長の両立は可能か

 低調な製造業関連指標を受けての株価急落は、中国の習近平指導部が進めようとしている経済の構造転換と安定成長の両立が簡単ではないことを改めて示している。

 中国政府は、不動産などへの投資と低い人件費を生かした輸出を中心とした経済から内需主導型経済への転換を図っている。また、製造業の高度化を目指す「中国製造2025」や陸と海のシルクロードの周辺国家との結び付きを強める「一帯一路」などの政策によって、企業の国際競争力強化と過剰生産設備の解消を図る戦略も打ち出している。

 内需主導型経済への転換は足元では進んでいるように見える。これまでの高度成長で中間層は拡大、個人消費は堅調に推移している。昨年12月25日には、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)も正式に発足した。人民元は国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の構成通貨への採用が決まった。こうした動きだけ見ると、習近平指導部が目指す改革と成長への戦略が着々と進んでいるようにも見える。