せっかく「走りながら考える」から分離独立した当「美味礼賛」でありますが、なにやら最近バタバタしておりまして、長らく放置プレイの日々が続いておりました。ここらでユルフンを締め直し、心機一転取り組みたいと存じます。

 さて久しぶりの美味礼賛は大好きなお寿司の記事を送りいたしましょう。

 本業の出張で熊本に出掛けた際、熊本大学の偉い先生に教えていただいた名店です。

その名は「仙八」。

 東京は西麻布の「真」で10年間修行を積んだ中原貴志氏が、地元に戻って開かれた比較的新しいお店です。「新しい店」と言っても、実はこの仙八、当代で4代目。

 先代の中原寿男氏から仙八を引き継がれるタイミングで、熊本城の近く、花畑商店街に移転した、という訳です。

花畑商店街の雑居ビルに地階に位置する「仙八」

 この店の特徴は、2つあります。

 1つは「マグロで逃げない」点、そしてもう1つは「地元の魚にこだわり抜いた」ということです。

 仙八の寿司は、いわゆる「お好み」ではなく、今風のコースメニューで供されます。

 イカ、トロ、次にアナゴね……と注文するのではなく、おまかせで寿司が出てくる訳です。

 一通りのコースが終わると、マグロ類が一切供されていないことに気付きます。理由を尋ねると、「誤解を恐れずに言いますと、マグロは鮨職人にとって逃げになるからです」と。

 「マグロが逃げになる?」これはどういうことでしょう。

 「12カン程度の握りの中に、マグロを入れると、それだけで赤身、中トロ、大トロと3カンも取られてしまいます。そこにネギトロなんかの手巻きを入れるとさらに1カン。鮨のうちの大部分がマグロになってしまいます。マグロはある意味ラクなんです。なにしろ切って乗せるだけですから」