日本中の女性を虜にした韓国ドラマ『冬のソナタ』。それは日本と韓国の関係をも変えた

 2002年、サッカーW杯は日韓共催となった。結果は、韓国が4位、日本はベスト16だったが、日韓の間の目には見えないカベが埋まったとは言いがたい。日本側は、自国のチームが激しくブーイングされることに驚き、傷ついた。そんな2国間のカベを軽々と飛び越えたのが、冬ソナこと『冬のソナタ』だった。

 冬ソナとは、チュンサン(ペ・ヨンジュン)とユジン(チェ・ジウ)による、純愛物語だ。

 チュンサンとユジンの出会いは高校時代。通学バスのなかでのことだった。交際を始めるが、クリスマスの夜にチュンサンは交通事故に遭ってしまう。ユジンは初恋の人に、永遠の別れを告げることになる。それから10年ほどが過ぎ、傷心が癒え始めたユジンは幼なじみと婚約。ところがユジンの前に、チュンサンそっくりの男・ミニョンが現れる。心揺れるユジン。実は、ミニョンは高校時代の記憶を失ったチュンサンその人だった――。

 そのドラマが2003年4月に日本でも放送されると、あれよあれよという間に大ヒット。ヨン様ブームが燃え上がり、ふたりの恋が始まった、ナミソムという島にあるメタセコイアの並木道には、日本からも多くの冬ソナファンが殺到した。

「純粋さ、美しさ、温かさ」を追い求めて

 このメタセコイアの並木道で恋を芽生えさせることにこだわったのは、ユン・ソクホ監督だ。この島は、高校時代にデートをした思い出の地。そこを重要な舞台とし「誰もが共感できる初恋の物語をつくるため、ゆずれないものとして、純粋さ、美しさ、温かさ、その3つだけを求めていた」という。

冬ソナ誕生の舞台裏には、監督による3つの決断があったという

 しかし、人間の記憶は日々、上書きされていく。大人になった誰もが初恋のその、純粋さ・美しさ・温かさをみずみずしく表現できるわけではないだろう。