元スコットランドヤードの刑事、チャーリー・ヒル。美術専門のおとり捜査官として、名画の奪還に執念を燃やした

 ミスター・リスクは自分自身をこう分析する。

 「私は傲慢でクソ野郎なんだ。とても自信家で、間違っている部分もあるが、最終的には必ず任務を遂行できると確信しているんだ」

 アイルランド闇社会の将軍 vs. 傲慢なクソ野郎ことミスター・リスク。その戦いの火ぶたは、将軍がそうと知る前に切って落とされていた。

 フェルメールが将軍一派の手におちる半年ほど前、ミスター・リスクは盗品ダイヤ密売の噂を聞き、バイヤーに扮してのおとり捜査を遂行していた。相手は密売人ばかりで、正体がバレれば確実に命を奪われる。慎重に相手を騙し、自分を信用させる。その繰り返しで真相の究明を進めていた。

 その捜査で知り合った密売人が「見てろよ、これから大事件が起きる」と予言していた。

 「新聞に載るし、ニュースにもなる」

 予言通りに大事件が起きると、密売人はバイヤーに扮していたミスター・リスクに電話をかけてきた。

 「何があったか、分かったな。俺たちが名画を手に入れた。どうするか策を練っている」

FBIの合成写真は素晴らしかったが…

 ミスター・リスクは電話の主の正体を突き止めるためにこっそりとその人物の指紋を入手した。そこから明らかになったのは、その人物はアイルランド最大の盗品マーケットを牛耳る男であること。さらに、将軍カーヒルの代理人としてロンドンなどで盗品を売りさばいてきた過去を持つことも判明した。

 ミスター・リスクは、背後にいるのが誰なのかを確信した。

 ミスター・リスクは名画を無事に奪還するため、一芝居打ってくれる仲間を大西洋の向こうのアメリカ連邦捜査局(FBI)に求める。アメリカの大物マフィアがその絵画を欲しがっているという噂を流し、カーヒルの動きをけしかけることにしたのだ。