着陸するとそこには西側資本の石油会社や航空会社のロゴが見え、犯行グループはようやく、そこが平壌ではないことに感づく。

 突如、よど号を受け入れる格好になった韓国はその機体を「不法侵入した航空機」とし、乗員乗客共に「不法侵入者」であるという姿勢をとった。

ソウルの金浦空港を取り囲む韓国軍兵士たち。後ろに見えるのが「よど号」
ソウルの金浦空港を取り囲む韓国軍兵士たち。後ろに見えるのが「よど号」

 日本から、衆議院議員で当時運輸政務次官を務めていた山村新治郎がソウルに入る。そして、自分が身代わりになるから99名の人質を解放するようにと犯行グループに申し出た。

 申し出は受け入れられ、韓国側もそれを認めた。

 乗客は解放され、赤軍派9名と山村、そして3名の乗務員を乗せたよど号は平壌へ発つ。すでにそのとき、事件発生から3日以上が経っていた。

人質交換によりようやく解放される乗客・乗員たち
人質交換によりようやく解放される乗客・乗員たち

 ソウルで解放された人質は、日本へ帰国することになった。

 その全員が、国内線であるはずの搭乗機がアクシデントで海外へ出てしまったため、まずはもれなく日本へ帰らなければならないからだ。

そしてマクドナルド神父が消えた

 ソウルで解放された人質は99名。ところが、いつの間にかそのうちの一人が消えた。

 一人が姿を消したと知って、乗客の帰国をサポートしていた日本航空の島田滋敏の脳裏に、ある乗客の名前がよぎった。2人いたアメリカ人乗客のうちのひとり、マクドナルドだ。その人物が神父であることも知っていた。

 なぜなら金浦空港でよど号が膠着状態にあったとき、マクドナルド神父の身代わりになりたいという人物が、日本航空のカウンターへ入れ替わり立ち替わり、計3人も訪れていたからだ。

 神父という単語は、副操縦士・江崎がソウルでとったメモにも残されている。

 《(韓国側から)客の神父さんと 交信を求められるが 拒否》

 ここから先は推測するしかない。なぜ“閣下”は決断したのか、なぜマクドナルド神父は消えたのか。神父のその後は、98名の人質に加え、乗務員と山村が帰国した後もわかっていない。

 振り返ると、謎が深まるばかりの事件。アナザーストーリーズでは6月1日水曜21時からNHKBSプレミアムで「よど号ハイジャック事件 明かされなかった真実」として放送する。(文中敬称略)

《お知らせ》6月4日土曜はNHK総合で「アナザーストーリーズ『ビートルズ旋風 初来日 熱狂の103時間』」を夜11時から再放送の予定