第35代アメリカ合衆国大統領 ジョン.F.ケネディと妻のジャクリーン

 ジョン・F・ケネディ米国第35代大統領が暗殺されたとき、クリント・ヒルはすぐ近くにいた。シークレットサービスのクリントは、警護のため、大統領の乗るオープンカーの後続の車に乗っていたのだ。

 テキサス州ダラス。もう一つ先の角を曲がればパレードは終わる。そこで銃声を聞き、咄嗟に振り返る。前に向き直る。そのとき、何が起きたかが分かった。

犯行現場となった元テキサス教科書倉庫ビル

銃弾3発、6秒間の真実

 「大統領は首をつかみ、左に傾いていたのです。2発目の銃撃を防ぐために、車から飛び降り、大統領のもとへ走り出しました」

 走っている最中の2発目は外れた。オープンカーへはまだ追いつかない。そして3発目。

 「3発目まで、たった6秒です。あのとき、私は車に手がかかったのですが、足が滑ってしまいました。車が加速したからです。あともう2歩、進む必要がありました。しかしたどり着いたときには、3発目が大統領の頭に当たって…。それが致命的な1発だったのです」

 「あのとき、大統領を守ることができたのは、私だけでした。しかし、それが果たせませんでした。私は『暗殺を防ぐためにできたことがあるはず、もっと何かできたはずだ』と自責の念にとらわれました。その思いは、永遠について回るのです」

元シークレットサービスのクリント・ヒル。 事件を至近距離で目撃した最後の生き証人 が語る真実とは

 1963年に起きたケネディ大統領暗殺は衝撃的な事件だったがゆえに、後にいくつもの疑惑や陰謀論を派生させた。そのうちのひとつが「Magic bullet」。クリントを振り返らせた魔法の弾丸だ。1991年に公開された映画『JFK』も、ここにスポットを当てている。

 それは、リー・ハーヴェイ・オズワルドが撃った1発目。弾丸は、後部座席に座る大統領の後ろ、首元から入り、喉を抜け、大統領の前に座るコナリー知事の右脇にも命中した。

 大統領の体を貫通したのはこの1発のみ。しかし、その日、大統領が着ていた上着の背中には、銃弾の跡が残っている。それが疑惑を生んだ。1991年公開の映画『JFK』のセリフを引用すると、こうなる。

 《この弾は、大統領の背中から17度の角度で下に向かった。それから上昇し、ケネディの喉から飛び出した。第2の傷です。空中で1.6秒待ち、そこから急に右折して、さらに左から右へ。また左へ。そして知事の右脇から体内へ。第3の傷です。戦闘経験がある者なら、こんなことは、あり得ないと分かるでしょう》