しかし4回裏、またしても野茂はこの回の先頭打者バークスを四球で歩かせる。そして、主審のビル・ホーンが「後になって考えると、分かれ目だった」というプレーが起こる。

 アウトをひとつとった後、ガララーガが放った鋭い打球は三遊間へ飛んだ。ショートのギャグニーはぎりぎりでそれ追いつき、二塁に投げ、ファーストランナーのバークスをアウトにした。

 ショートゴロ。このときのギャグニーの捕球体勢では、一塁に投げてアウトを取るのは難しい。

 ホーンは「もしランナー(バークス)がいなければ、(ショートへの内野安打となって)ガララーガは一塁セーフ。この時点でノーヒット・ノーランはなくなっていたでしょう。フォアボールでランナーを出していたことが幸いしたのです」と振り返る。

歴史的ゲームの主審を務めたビル・ホーン

勝負所を掴む

 6回にもまた、勝負所が訪れた。

 野茂はまたしても先頭打者のエリック・ヤングに四球を与えた。ヤングは以前、野茂と対戦したときに1イニング3盗塁を決めていた俊足の持ち主だ。当然、リードを大きく取る。そこに野茂は牽制球を投じて一・二塁間に挟み、アウトをもぎ取る。

 その後、この日三度目の打席が回ってきたバークスは、いつもならセンター前に抜けていくような高く弾んだ打球を軽々と野茂に処理され、このピッチャーは記録を狙っているのではと強く意識するようになる。

 ロッキーズ打線が焦り始めたことを、ドジャースの正捕手は察知していた。

 「キャッチャーは、バッターがどれくらい打ち気にはやっているか、それを見抜くのが仕事です。相手が攻撃的になれば、それに応じて戦略を変えます」とピアッツァはいう。

 「彼らが早いカウントで打ってくるのに気付き、早め早めにフォークを使いました」