アポロ13号の事故、9.11、イギリスで起きた名画盗難事件。どんな大きな事件・事故にも、人知れずそれに対処した人がいます。

 アポロ13なら搭乗していた乗組員が、9.11なら被害にあった国の指導者が、名画盗難事件なら盗難グループが注目されがちですが、そこには、奇跡の生還に専門知識で貢献した人、指導者の身の安全を確保した人、盗難グループを追い詰めた人がいます。NHK-BSプレミアム『アナザーストーリーズ』では、こういった事件の当事者たちに、当時を振り返ってもらってきました。

 取り扱う事件・事故、現象や人は、この3件のように海外に及ぶことも珍しくありません。そして海外での案件を扱う度に、あることを考えるようになりました。

 「もし、この事件や事故の現場が日本だったら、どんな風に収束していただろうか」

そのとき、若者たちが最前線にいた

 たとえば、アポロ13号が月に向かう途中で酸素タンクが爆発し、月への到着どころか3人の乗組員の生還が危ぶまれたとき、管制室は、すぐに引き返すのではなく、そのまま月へ向かい、月の重力を利用して帰還を試みるという決断を下しています。

 その中心にいたのは、33歳のフライトディレクターの男性。

 軌道計算をしたのは、大学で数学を専攻した26歳の女性。

 もしもこれが日本で起きたことだったら、そこに33歳のプロフェッショナルはいただろうか。組織は彼のアイデアをつぶしはしなかっただろうか。26歳の女性の計算結果は尊重されただろうか。

 「もしも」の答えは分かりません。もちろん日本なら、もっと上手く成し遂げた可能性もある。でも、今から40年以上前、しかもあの国家的なプロジェクトを指揮した中心に座っていたのが、20~30代の人々だったという事実は、すごく印象的でした。そして、アポロ13号の危機が明らかになったとき、すぐさま的確な情報が司令室に集まったことも。

 そのことをどうしても考えてしまうのは、どこかで、泥沼化していった太平洋戦争や、今なおコントロールできない原発の存在が頭をよぎるからでしょう。宇宙探査船「はやぶさ」の奇跡を起こせるのも日本なら、原発のリスクを正確に測れずにいるのも日本です。