「スクープ」とは誰よりも早く取材し、いち早く発信するもの…のはずですが、いわば「時効」を迎えたような過去の出来事からスクープが掘り起こされることがあります。当時は話せなかったことを、今なら話せる。いや、真実を話しておくべきだ。そんな思いも引き受けながら、「今だから、聞けた」話によって、知られざるストーリーが紡がれる――。NHKーBSプレミアム『アナザーストーリーズ 運命の分岐点』はそんな番組です。当連載では、その番組の裏側にフォーカスします。「ニュース」ではなく「トゥルース」に、時を経たからこそ、たどり着けた。ダイアナ妃の事故死、ベルリンの壁崩壊、チェルノブイリ原発事故など、その題材をなぜ選んだのか、どんな準備をし、どんな取材をし、どのように難題をブレークスルーしたのか。制作を指揮するプロデューサーに「“アナザーストーリーズ”のアナザーストーリー」を聞きます。
シリーズ
時効スクープ ~今だから、聞けた

完結
39回
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なぜ少女たちはクラッシュ・ギャルズに涙したか
1983年にライオネス飛鳥と長与千種によって結成された女子プロレスのタッグコンビ「クラッシュ・ギャルズ」は多くの少女たちを夢中にさせた。なぜ、あれほどまでの熱狂が生じたのか。
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1984~89年「山一抗争」と夕刊紙記者たち
1984年から5年にわたった「山一抗争」。関西在住の一般市民に関連情報を広く深くもたらしたのは、夕刊紙だった。一般紙がグリコ森永事件に紙面を割く一方で、何紙もあった夕刊紙は競って組員の声や今後の行方を記事にしていた。
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野茂英雄、空前絶後のノーヒットノーランの夜
野茂英雄はメジャーリーグで二度、ノーヒットノーランを達成している。その一度目は、新人王を獲得した翌年の1996年9月17日、強打打線を誇るコロラド・ロッキーズとの最終カードでのことだった。
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オグリキャップ、あなたは特別な存在でした
1990年12月23日、第35回有馬記念。オグリキャップのラストランをその目に焼き付けようと、中山競馬場には18万人が詰めかけた。無数の夢を託された“地方出身の三流馬”が放った光は、今なお多くの人の心に残り続ける。
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1980年、黙殺された「北朝鮮拉致事件」特報
1980年1月7日サンケイ新聞1面。見出しは「アベック3組ナゾの蒸発」、その下に「福井、新潟、鹿児島の海岸で」。縦の見出しには「外国情報機関が関与?」とある。しかし、スクープは黙殺された。
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暫定憲法第1章「大島ノ統治権ハ島民ニ在リ」
日本国憲法が公布される9か月も前、日本のある地域で作られた暫定憲法に、こんな一文が記されていた。「大島ノ統治権ハ島民二在リ」。暫定憲法とは、伊豆大島とその周辺で使われたかもしれなかった憲法のことだ。
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1974年、カルーセル麻紀と「オネエ」の時代
「オネエ」と彼らをひとくくりにするのは随分雑なことではあるけれど、そこをどうかお許し頂きたい。その上で考える。彼ら(彼女たち?)が お茶の間を、いや社会を席巻し始めたのは、一体いつからなんだろう?
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あの奇跡は日本でも起こすことができただろうか
アポロ13号の事故、9.11、イギリスで起きた名画盗難事件。どんな大きな事件・事故にも、人知れずそれに対処した人がいます。そんな番組を作りながら、「日本で起きたらどうだったか」と考えるようになりました。
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ほどよい時と距離を置いてこそ見えるものがある
アナザーストーリーズの2代目プロデューサーとなってから半年が過ぎました。前任から引き継ぐことになり、最初に考えたのは、「過去の話との向き合い方」でした。
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「冬ソナ」初恋の純真を描いたユン監督の純真
そのドラマが2003年4月に日本で放送されると、あれよあれよという間に大ヒット。ヨン様ブームが燃え上がり、チュンサンとユジンの恋が始まった、ナミソムという島にあるメタセコイアの並木道にはファンが殺到した。
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ユリ・ゲラーとMr.マリックを結ぶ点と線
ユリ・ゲラーが日本でデビューを飾ったのは1974年3月7日。日本テレビ『木曜スペシャル』でのことだ。20時35分、カナダからユリ・ゲラーが日本の茶の間に“念”を送り始める。すると、日本テレビ内の電話が次々に鳴り始めた。
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田中角栄、時代の変化を体感した男
時代は徐々に変わるとも言えるし、突然、大きく変わるとも言える。田中角栄はそれを体感し、多くの人はそれを目撃した。ある時代を生きた人物を、後世の倫理観だけで評価することは難しい。立ち会った人々の証言でその「時代の変化」をた…
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「日活ロマンポルノ」主演女優・白川和子の葛藤
時は1971年。映画が斜陽の時代を迎える中、名門・日活が起死回生を狙った一手が「ロマンポルノ」。突如の路線転換に現場は混乱を極めたが、覚悟を決めた者たちは、そこから新たな道を切り開いていった。
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80年代CM黄金期、3人の天才は何を見通したか
80年代の幕開けとなる1980年1月1日、沢田研二のシングル『TOKIO』が発売された。作詞をしたのはコピーライターの糸井重里、B面の『I am I』の作詞はやはりコピーライターの仲畑貴志だった。
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アポロ13号を生還させた「NASA以外」の人々
1970年4月、米国が発射したアポロ13号に事故が発生。NASA管制室の懸命な対応によって無事生還した。ハリウッド映画でお馴染みのストーリーだが、その奇跡は「NASA以外」の人々の力なくしてはなし得ないものだった。
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元・山一證券トップセールス、永野修身の生き方
1997年11月24日、100年の歴史を持つ山一證券が自主廃業した。1万人を超える社員は職を失い、途方に暮れた。その時、トップセールスマンだった永野修身は何を思い、何をしたのか。
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スティーブ・ジョブズを「ペテン師」と呼ぶ男
2005年6月12日、スタンフォード大学。“Stay hungry, Stay foolish”というメッセージで締め括られたスティーブ・ジョブズの演説には3つのテーマがあった。それをひも解く取材の中で、ジョブズを「ペテ…
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「ひどい覆面」から始まったタイガーマスク伝説
人気マンガから飛び出してきたヒーロー・タイガーマスク。1981年、少年たちを魅了した“四次元殺法”は天才・佐山聡だからこそ為せたものだ。スポットライトを浴びながら、しかし佐山は苦悩の中にいた。
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美空ひばりは、なぜ「すごい」のか
美空ひばり。彼女はなぜ「すごい」のか。天才少女歌手は、歌とともに生き、それを最期まで貫いた。病魔に冒されてもなお、すごみを増すその歌声。歌うことにすべてを捧げた彼女には「女王」の肩書がふさわしい。
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9.11、大統領をホワイトハウスで待ち続けた男
15年も前のある日に、自分がどこで何をしていたかを思い出すのは難しい。しかし、この日は例外だろう。2001年9月11日。アメリカを同時多発テロが襲った。その時、ホワイトハウスでは「無名の人々」が奔走していた。
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小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明
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徹底予測2021年 底打ちか奈落か
日本経済の節目の年として幕を開けた2020年は、誰もが予想できない最悪の1年となった。すべての始まりはコロナ禍だ…
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クルマ大転換 CASE時代の新秩序
総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
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不屈の路程
話題の経営者や気鋭の起業家はいかにして自らの経営を確立するに至ったのか。そこにたどり着くまでの道のりは決して順風…
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菅野泰夫のズームイン・ズームアウト欧州経済
ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
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1000年企業の肖像
日本は創業100年以上の企業が多くあり、世界一の長寿企業大国として知られる。その中には創業1000年を超えると伝…
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10 Questions
いま、世の中で起こっていること。誰もが知りたいと思っていること。でも、ちゃんと理解できていないこと。漠然と知って…
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河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは…
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ファクトフルネス思考
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大西孝弘の「遠くて近き日本と欧州」
日本の読者にとって欧州のニュースは遠い国々の出来事に映るかもしれない。しかし、少子高齢化や低成長に悩み、企業の新…
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グルメサイトという幻
食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメ──。外食店探しに欠かせない存在となったグルメサイトの地位が揺らいでいる…
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フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える
この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
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ファストリ、異次元の経営
コロナ禍の混乱からいち早く抜け出したファーストリテイリング。破綻が相次ぐアパレル業界にあって、なぜユニクロだけが…
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テスラが仕掛ける電池戦争
日本でも2030年代半ばに新車販売でガソリン車をゼロにする方針が打ち出されるなど、各国の環境規制強化により普及段…
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
全8回