ところが、1980年にロナルド・レーガンが大統領に選出されてしまい、PC 業界について取材する方が「ずっと」面白いことに見えたのです。折しもPCはホビイスト(趣味人)のテクノロジーから、主流の技術へと移行しつつある時期でした。ですから、私はPCと一緒に育ってきたと言ってもいいでしょう。

 中でもコンピュータ雑誌「Byte」(編集部注:日本の提携誌として「日経バイト」があった)の編集者になったのは、技術教育のようなものでした。Byte 誌で「RISC」に関する記事を書いたことは、今でも誇りです。そのためにコンピュータアーキテクチャーを勉強し、そうしなければ手に入らなかった洞察を得ることができたからです。

 また、同じ頃クリストファー・エバンズ(Christopher Evans)氏の著書「The Micro Millennium」という本にも遭遇しました。同書には、マイクロプロセッサが社会的・経済的な革命を起こすと書かれていました。この本は、私の考え方に大きな影響を与えたものです。

最近は、虚言や偽ニュースが横行しています。先だって退職パーティーでスピーチをされた際に、それに関しても言及されました。

 スピーチの最後に、ドイツの劇作家ベルトルト・ブレヒトの言葉を引用しました。次のようなものです。

 「現在、嘘や無知と闘い真実を書こうとする者は、少なくとも五つの困難を乗り越えなければならない。真実があらゆるところで否定されていてもそれを書く勇気を持ち、あらゆるところで覆い隠されていても真実を識別する鋭利さを備え、真実を武器のように操作する技を磨き、誰の手に渡せば効果的になるかの判断力を備え、そしてそうした人々の間に真実を広める巧妙さを駆使することだ」(訳:瀧口)