航空機大手のAirbusからは、研究開発部門に所属するThierry Botter氏が登壇した。Botter氏はまずAirbusがスーパーコンピュータを補完するテクノロジーを常に求めていると強調した。Airbusは航空機の設計を支援するために膨大な量のシミュレーションをスーパーコンピュータで実行しており、IT予算の3%が関連ハードウエアに投じられている。

 講演でBotter氏は「どのメーカーのどんな方式のものであっても構わない。量子力学に基づくかどうかも問わない。我々が気にしているのは、Airbusの既存のアプリケーションを、既存のスーパーコンピュータに比べて高速に解けるかどうかだけだ」と主張し、そのような観点で量子コンピュータの検証を進めていることを明かした。

航空機の故障分析への適用目指すAirbus

 Airbusが量子コンピュータの適用領域として期待するのは、「フォルトツリー解析(故障木分析)」の高速化だ。航空機の故障の原因などを特定する際に使用する分析手法だが、規模が大きいフォルトツリー解析は「NP困難」の問題であるため、スーパーコンピュータであっても解くことは不可能だとされている。

 Airbusは、QC Wareが開発したソフトウエアとD-Waveの量子アニーリング方式を使ってフォルトツリー解析を実行する検証を行った。Airbusが求めるような大規模なフォルトツリー解析をD-Waveのマシンで解くことは元から期待していないが、興味深い検証結果も得られたという。

 例えば「D-Waveのマシンを使う場合、問題のサイズが変わっても、問題を解くのにかかる時間が変わらなかった」(Botter氏)。従来のコンピュータを使う場合、問題のサイズが大きくなるほど、問題を解くのにかかる時間は長くなる。従来のコンピュータとは全く異なる原理で動作するD-Waveのマシンの特異性が、改めて確認できたことになる(写真4)。

写真4●欧州Airbusによる「フォルトツリー解析」の検証結果
青の線が量子コンピュータの結果で、解析規模に関わらず処理時間が一定だったことが分かる
[画像のクリックで拡大表示]

 Airbusでは今後、D-Waveのマシンとスーパーコンピュータを組み合わせてフォルトツリー解析を効率よく解く手法などを検証していくとしている。