Cozmoの仕組みは、IoT分野における「エッジコンピューティング」そのものだ。IoTデバイスは非力であるため、機械学習のような重いプログラムは稼働できない。そこで従来は「プログラムはすべてクラウドで動かし、IoTデバイスはクラウドの指示に従うだけ」という考え方が主流だった。

 しかしプログラムをすべてクラウドで動かすと、レイテンシー(遅延)が避けられないため、Cozmoのようなユーザーと相互作用するアプリケーションは実現しづらい。Cozmoもデバイスそのものは非力であるため重いプログラムはデバイス上で実行できないが、ネットワークのエッジ(端)にあるスマートフォン/タブレットでプログラムを稼働させているため、低遅延で処理を実行できる。

大学のロボット研究者も活用するCozmoのSDK

 「我々が開発しているのは、ロボットのプラットフォームだ」。Tappeiner社長はそう語る。AnkiはCozmoのプログラムをカスタマイズできるSDK(ソフトウエア開発キット)も提供しているが、「CozmoのSDKは子供だけではなく、カーネギーメロン大学やジョージア工科大学といった大学の研究者も利用している」(Tappeiner社長)のだという。

 超小型ロボットのような非力なIoTデバイスで、AIなど豊富な機能を実現するためにはどうしたらよいのか。Cozmoのアプローチは、AIやIoTの活用を考えている企業にとって、良い参考になりそうだ。

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