Tappeiner社長が言う「本格的のAI」の根拠は二つ。一つはカメラを使った画像認識機能で、オープンソースソフトウエア(OSS)の画像認識ソフトウエアライブラリ「OpenCV」を使用している点。もう一つは同社が「エモーションエンジン」と呼ぶ、Cozmoがあたかも感情を持っているかのように振る舞う仕組みを搭載している点だ。

 Cozmoは表情やアームの動き、サウンドなどを組み合わせて感情を表現する。組み合わせのパターンは数千種類を超えるが、「プログラマが設定した条件分岐に従って表情や仕草が決まるのではない。Cozmoが自らの“感情”に従って、表情や仕草を決めている」(Tappeiner社長)というのだ。

感情変数に従って表情や仕草を決定

 Cozmoは感情に関する複数の変数を有している。「幸せ(Happiness)」「自信(Confident)」「恐怖(Brave)」「攻撃性(Charge)」「興奮(Excitement)」「遊んでほしさ(Social)」「勝ち負け(Winning)」などで、ユーザーとのコミュニケーションに応じてこれらが変動する。Cozmoの表情や仕草は変数に基づいて決まるため、Ankiの開発者が想像もしなかったような仕草をCozmoが見せることもあるという。

 Cozmoが興味深いのは、手のひらに収まる超小型のボディに驚くほど豊富な機能を備えたソフトウエアを実装していることだ。そもそもCozmoが搭載するプロセッサは組み込み用の「ARM Cortex-M4」であり、画像認識のような高度なソフトウエアを実行するのは到底不可能だ。実はCozmoのソフトウエアは、Cozmo本体ではなくCozmoとBluetoothで接続したスマートフォンで動かしている。これこそが、180万行ものコードで構築したソフトウエアを、超小型ロボットで利用可能にしているからくりだ。

 Cozmoを利用する際には、「iOS」または「Android」を搭載するスマートフォンやタブレットにCozmo専用アプリケーションをインストールし、Bluetooth経由でCozmoに接続する。ユーザーはCozmo用アプリを使って、Cozmoのカメラが写す画像を見ながら、Cozmoをリモート操縦することも可能だ。

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