DC間を接続するネットワーク機器も独自開発

 続いてネットワークを見ていこう。Microsoftは現在、36個の「リージョン」を世界中に展開しており、各リージョンを同社専用の光ファイバーケーブルで結んでいる。通信会社の光ファイバー網を借りるだけでなく、自社が出資して専用の海底光ケーブルを敷設しているほとだ。

 前述の通りリージョンは複数のデータセンターで構成されているが、リージョン内でデータセンターを相互接続するネットワーク機器もMicrosoftは独自開発した。複数ラックで構成する大型の光ファイバースイッチで、名称は「Madison」という(写真3)。Madisonはデータセンター間で1.6ペタバイト/秒の光ファイバー通信が可能で、Russinovich氏によると「消費電力で32メガワットの規模のリージョンをまかなえる」ネットワーク帯域をカバーできるという。32メガワットの消費電力があれば、数万~数十万台の標準的なサーバーを稼働できる。

写真3●データセンターを相互接続する「Madison」
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 Russinovich氏によれば、既存のネットワーク機器でこのような帯域をカバーするためには、32ラックなければ収容できないほどの大型のネットワーク機器を導入する必要があったという。2ラック分のハードウエアで32メガワットのリージョン間通信をカバーできるMadisonを開発することで、コストの大幅な削減だけでなく、消費電力の大幅なカットも実現できた。

FPGAで暗号通信を高速化

 サーバーに関してRussinovich氏は、FPGAに関する最近の取り組みと、同社が開発してきたサーバーハードウエアの歴史について解説した(写真4)。

写真4●Microsoftによるサーバー自社開発の歴史
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 Microsoftは2015年末から、Microsoft Azureに新規に追加した物理サーバーすべてに、同社が独自に開発したFPGAボードを搭載している。このFPGAボードは「SmartNIC」と呼び、Microsoft AzureのSDN(Software Defined Network)に関連するルーティングテーブルの変換処理のほか、ネットワーク通信の暗号化処理などを担っている。

 Russinovich氏は「SDNの処理をサーバーのホストCPUからFPGAにオフロードすることで、物理ネットワークと変わらない低遅延や広帯域を、仮想ネットワークでも享受できるようになった」と説明している。