孫社長はIoTが集めるデータを機械学習してAIが賢くなっていく先に、AIが人間の知性を上回る「シンギュラリティ」が到来すると主張(写真3)。冒頭に紹介したように「1兆のIoTが人類の次の進化を加速させる」と述べた。しかしシンギュラリティに至る革命は「1社では成し遂げられない」(孫社長)と述べ、会場に集まるARMのパートナーに対して協力を訴えかけた。

写真3●IoTとAIが「シンギュラリティ」をもたらすと語る孫社長
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 基調講演で孫社長がもう一つ強調したのは、IoTのセキュリティだった。「1兆のIoTがネットワークにつながる時代にあっては、プロセッサの動作周波数が2倍になることや、メモリーの容量が2倍になることよりも、セキュリティが重要になる」(孫社長)。

自動車は「ノーセキュリティだ」と孫社長

 しかし現在のIoTは、セキュリティが非常に脆弱だ。その象徴として孫社長は、自動車を例に挙げた。「今の自動車は、数千の半導体チップが搭載され、数百のARMコアが稼働している(写真4)。しかしこれらのチップは暗号化されておらず、ノーセキュリティだ」と孫社長は主張。「(ネットにつながっていない)ノンコネクテッドな自動車では問題にならなかったが、コネクテッド(ネットに接続)されると状況は全く異なる。あなたの自動車をハックするのは非常に簡単だ」(孫社長)とした。

写真4●自動車は「ノーセキュリティ」と語る孫社長
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 その上で孫社長は「自動車に搭載されるチップは、全て暗号化機能を搭載すべきだ」と主張。ARMは現在、ARMプロセッサへの暗号化機能の搭載を進めている。セキュリティへの懸念の高まりも、ARMのビジネスにとって追い風になることを示唆した。