この問題が深刻なのは、MEMSセンサーの測定結果を操ると、デバイスそのものを外部から操れてしまう恐れがあることだ。アリババセキュリティーが用意した検証動画や会場で実施したデモでは、超音波を当てたスマホのコンパス表示がおかしくなり、VRヘッドセットは表示が揺れ、ドローンのカメラが撮影する動画は乱れた(写真2)。さらに中国シャオミの電動スクーターや中国メーカーの自走型ロボット玩具は超音波を当てると姿勢が揺らぎ、転倒した。

写真2●スマホに超音波を当てるアリババセキュリティの研究者
写真2●スマホに超音波を当てるアリババセキュリティの研究者
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 幸いなことに今回の実証では、ごく近距離から超音波を当てなければMEMSセンサーの測定結果を操れなかった。遠くからドローンを超音波で狙い撃ちするといったことができたわけではない。しかし、今回アリババセキュリティが使ったのはわずか320ドルの超音波発生器や2ドルのアンプだった。より大がかりな装置を使った場合に、より深刻な問題が見つかる恐れもある。

超音波による攻撃に備えよ

 アリババセキュリティのWang Kang氏は講演で、「MEMSセンサー搭載デバイスは超音波による攻撃への備えが必要だ」と訴えた。超音波がMEMSセンサーに達しないような外装を装着する、MEMSセンサー使用時にマイクロフォンも併用して超音波による攻撃を検出したり相殺したりする、といった対策を講じれば超音波による攻撃を防げるという。

 ドローンやスマホへの攻撃は無線LANなどのネットワーク経由であるとは限らない。デバイスのセキュリティ対策として、超音波への備えが必要になる時代がやって来ている。