IBMがスタジオという「場所」をとても重視しているのは驚きました。なぜ「場所」が大切なのでしょうか。

 従来のIBMのオフィスは、ほかの多くの伝統的な企業のオフィスと同様に、従業員の席は「キュービクル」でほかの従業員と仕切られていて、部署のオフィスは他部署と壁で仕切られていました。こうした伝統的なオフィスは、従業員のワークプレースを分離しようとしていました。

 それに対してスタジオは、オープンであることを心がけています(写真8)。なぜなら我々は、さまざまな立場の従業員が協業することが重要だと考えているからです。さまざまなスキル、異なる視点を持った専門家が一つのテーブルに集まり(写真9)、同じホワイトボードを使って意見を交換し合うことで、互いに互いをインスパイアし合えるようになります。ですから「場所」はとても重要なのです。このような考えに基づき、コラボレーションを円滑にするスタジオを作りました。

写真8●オープンな会議室
[画像のクリックで拡大表示]
写真9●さまざまま専門家が一つのテーブルを囲む様子
[画像のクリックで拡大表示]

スタジオの設計も、デザイン思考の考え方に基づいているのでしょうか。

 もちろんです。スタンフォード大学の「d.school」が、デザイン思考に適したオフィススペースを研究しており(関連記事:シリコンバレーのオフィスが、どこもこじゃれている理由)、我々もd.shcoolや米IDEOと連携して、スタジオを作り出しました。

オフィスも含めて、なぜここまで劇的に変えなければならないと考えたのでしょうか。

 IBMの製品やサービスの顧客が期待する「体験」が、大きく変わり始めているからです。

 過去10年の間に、スマートフォンなど「コンシューマーテクノロジー」におけるユーザーエクスペリエンス(ユーザー体験)は大きく変化し、ユーザーは「いつでもどこにいても相互にユーザー同士がつながっている」という体験が当たり前のものだと考えるようになりました。