AWSの国際展開も加速します。既に当社は12のリージョンを世界中に展開していますが、2016年末までに16に増やします。既に韓国にリージョンを開設したほか、中国にも2番目のリージョンを設けます。その次はインド、英国、米国オハイオ州、カナダモントリオール州となります。

 さらに、当社のサービスをより簡単に、よりシンプルにし続けます。具体的には、特定のシナリオにフォーカスし、必要な機能が全て手に入るパッケージ型のサービスを今後も増やします。既に「AWS Mobile Hub」というモバイルアプリケーションのバックエンドのサービスや、「Amazon Machine Learning」という機械学習のサービスを提供していますが、こういったサービスを増やしていきます。

AmazonのVogels CTO
写真:平尾 敦
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 従来にも増して顧客のITコスト削減に貢献します。例えば当社は「AWS Trusted Advisor」という、顧客のシステムを診断してAWSに支払う料金をどう引き下げられるかアドバイスするツールを提供しています。これまでのITベンダーの中に「当社に支払う費用をこうすれば減らせます」とアドバイスする会社があったでしょうか。顧客第一主義を掲げる当社ならではの施策です。

顧客のパートナーになる

 最後に、AWSは顧客にとって「パートナー」になります。2015年10月に発表した「AWS Well-Architected Framework」が良い例です。

 AWSを始めて10年が経ち、様々な企業が様々な種類のシステムをAWS上に構築してきました。これらの経験に基づき我々は、「セキュリティ」「性能」「拡張性」「信頼性」「コスト」の5項目について、どのようなシステムアーキテクチャーを選択すれば良いか「ベストプラクティス」が分かるようになりました。

 AWS Well-Architected Frameworkは、このベストプラクティスを顧客に提供する仕組みです。顧客は当社が用意した10~15の質問に答えるだけで、顧客のシステムが採用すべき正しいアーキテクチャーが分かるようになります。

ユーザー企業はこれまで「ベストプラクティス」を知るために、ITベンダーにコンサルティング料金を支払ってきました。それすら不要にしようというのですか。

 その通りです。IT業界の構造そのものを一変させたい。投資は惜しみません。

Werner Vogels氏
米Amazon.com 最高技術責任者(CTO)
Werner Vogels氏 2005年、米Amazon.comにCTOとして入社。Amazon入社以前は、米コーネル大学コンピュータサイエンス学部の研究員として、スケーラビリティやミッションクリティカル・エンタープライズ・システムに関する研究活動に従事。1958年生まれの57歳