クラウドの登場によって、ITをアウトソーシングする理由も無くなりました。アウトソーシングの目的はITのコスト削減でしたが、AWSを使えばアウトソーシングをしなくてもITコストを削減できます。

この10年でクラウド市場は急成長を遂げ、AWSは大きな成功を収めました。一方で、これまでのITベンダーはクラウドで苦戦しています。Amazonと他社とは、何が一番違うと考えていますか。

 顧客に対する姿勢や利益に対する考え方が、我々と他社とで全く異なります。

 これまでのITベンダーは顧客に対して「5年または10年の長期契約をしなければ値下げには応じられない」と主張して、長期間の契約を結ばせています。その上、一度契約を取ると、その後は顧客のことはあまり気にしていませんでした。

小売業の常識をITの世界に

AmazonのVogels CTO
写真:平尾 敦
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 AWSは顧客に対して長期契約を求めていません。顧客は自分の好きなタイミングで、いつでも利用をやめられます。これは我々が「顧客第一主義」を貫く小売業の出身だからです。AWSは小売業の顧客第一主義をITの世界に持ち込んでいます。

 利益についてもそうです。ITベンダーの提供する商品やサービスの粗利益率は80%を越えることも珍しくありませんが、AmazonのJeff Bezos CEO(最高経営責任者)は常々「80%もの利益率はもはや『罪』だ」と述べています。これまでのITベンダーとは異なる価値基準を持っていることが、我々の特徴です。

次の10年、Amazonは何を目指しますか

 具体的な製品ロードマップではなく一般的な方針として、五つを考えています。

 最優先するのはセキュリティです。セキュリティが確保されていなければ、企業はインターネット上でビジネスを継続できません。当社の顧客がより簡単にシステムのセキュリティを向上できるよう、様々な機能を追加していくつもりです。