Li氏:「アルゴリズム」についても説明しよう。Googleはウェブ検索や広告、「Gmail」「Google Photos」「Google翻訳」といった自社サービスのために、画像認識機能や翻訳機能など様々なAI機能を機械学習によって開発してきた。こうした機能をそのまま、社外にもサービスとして提供している。

 ユーザー企業はGoogleが提供するAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を利用すれば、Googleが学習済みのAI機能をアプリケーションに実装できるようになる。

 日本の航空会社、Peach Aviationは音声認識サービスの「Speech API」を活用して、顧客からの電話での問い合わせに自動応答するサービスを開発した。飛行機の発着状況などに関する顧客の問い合わせを理解し、正しい情報を音声で顧客に提供する仕組みだ。

Googleが学習済みのAI機能を、ユーザー企業がカスタマイズすることは可能か。例えば画像認識機能「Vision API」を拡張して、一般的ではない物体を認識できるようにするといったことだ。

Li氏:可能だ。実際にそのような事例も存在する。米ペンシルバニア州の害虫駆除会社であるRentokilは、害虫の種類を判別するスマートフォンアプリケーション「PestID」を、Vision APIをカスタマイズすることで開発した。スマホのカメラで害虫を撮影し、その画像をVision APIで認識すると、害虫の種類を特定できる。そしてその害虫に最も有効な殺虫剤の種類をユーザーに教える。

 もともとのVision APIは、害虫の種類までは特定できなかった。Rentokilが保有する害虫の画像データを学習することで、害虫の種類が分かるようになった。

機械学習の処理環境(コンピュテーション)に関しては、どのようなサービスを提供しているのか。

Li氏:処理環境に関しては、スケーラブルな機械学習の処理環境である「Google Cloud Machine Learning(ML) Engine」と、「GPU(グラフィックス処理プロセッサ)」を搭載した仮想マシン、Googleが自社開発したディープラーニング(深層学習)専用プロセッサ「Cloud TPU」のサービスである「Google Cloud TPU」の3種類を提供している。

 ユーザーにとって利便性が高いのは、Cloud ML Engineだ。最近になってGPUにも対応した。ユーザーはGoogleが開発した機械学習フレームワーク「TensorFlow」を使って機械学習のモデルを開発し、学習などをCloud ML Engine上で実行できる。Googleが運用管理するマネージドのサービスであるため、処理環境のプロビジョニング(展開)やスケーリング(拡張)などについて、ユーザーが気を配る必要はない。

 ただしユーザーの中には、CPUやCloud TPUを使って機械学習をやりたいという人もいれば、TensorFlow以外の機械学習フレームワークを使いたいという人もいるだろう。そうしたニーズに対応できるよう、様々な選択肢を提供している。

 Google Cloud Platformで機械学習を利用しているユーザー企業の一つが、日本のキユーピーだ。TensorFlowを使って、画像に基づいて食品材料の品質をチェックするシステムを開発した。

 欧州のAirbus Defence and Spaceは、Cloud ML Engineのユーザー企業だ。同社の衛星画像ライブラリサービス「One Atlas」の基盤にGoogle Cloud Platformを採用し、衛星画像から様々なパターンを識別する機能をCloud ML Engineを使って開発した。

学習済みモデルは、API以外での提供はしないのか。例えば、ユーザーがWebブラウザーを使って音声ファイルをアップロードするだけで、音声からテキストを生成するサービスをGoogleが提供してくれれば、私は今すぐ利用したい。

Li氏:そのようなサービスを提供する予定は今のところ無いが、あなたがそのような要望を持っていることは理解した。