例えば、アプリケーション開発者向けにどういった機能を提供するか、高可用性(HA)はどう保証するか、サーバーがダウンした場合にどうするか。63のパターンについてそれぞれ要件を整理した。VWのような大企業には、巨大なシステム運用部門が既に存在する。システム運用部門が利用する既存の運用管理ツールとOpenStackがうまく連携できるようにするのも、重要な仕事だ。

「Amazon Web Services(AWS)」のようなパブリッククラウドとの競合についてはどう見ていますか?

 AWSは間もなく100億ドル規模のビジネスになるそうだが、それでもIT市場全体の規模と比べるとまだまだ小さい。例えば、米AT&Tのデータセンター投資額だけでも、米Amazon.comのデータセンター投資額の2倍以上に達する(注:両社の2015年12月期決算では、AT&Tの設備投資額が192億ドルだったのに対して、Amazonの設備投資額は45億8900万ドルだった)。

 AT&Tのような巨大な会社がクラウドのアジリティ(迅速性)を享受するためには、AWSなどのパブリッククラウドに頼るのではなく、自社でプライベートクラウドを構築するしかない。またAWSはとても大量の機能を提供しているが、それでも全てのユーザー企業のニーズを満たせるわけではない。ユーザー企業個別のニーズを満たせるプライベートクラウドの構築を支援するのが、当社のビジネスとなる。

OpenStackの開発体制はどうでしょうか。

 米OpenStack Foundationの下で、開発は順調に推移している。OpenStackのオリジナル開発企業である米Rackspaceは、既にOpenStackの開発から手を引いてしまっているが、ほかの企業がそれを補った形だ。

 競合OSSである「CloudStack」は、開発を主導していた米Citrix Systemsが手を引いてからは元気がない印象だ。それに対してOpenStackは、Rackspaceがいなくなっても生き残っている。これはOpenStack Foundationのガバナンスが良いからだ。Mirantisがいなくなったとしても、OpenStackは生き残って行けるだろう。

Mirantisの株式公開(IPO)の予定は?

 今後2年以内にはIPOしたいと考えている。現在の市場環境であれば、IPOをしなくてもプライベートマーケットから事業資金は調達できる。しかし(株式を報酬として受け取っている)従業員に報いるためにはIPOが必要だ。