まずは、セラノスの有望性を見込み巨額の投資をして、同社を「ユニコーン」(推定企業評価額が10億ドルを超えるスタートアップ)に持ち上げた投資家らだ。同社に投資をしたのは、ベンチャー・キャピタル大手の米ドレーパー・フィッシャー・ジャーベットソン、米タコ・ベンチャーズのほか、米オラクル共同創設者のラリー・エリソン氏ら。多くの投資会社が、儲け話に乗ろうとセラノスの評判の周りに群がったはずだ。

著名人がもてはやしたセラノス

 また、社外役員の当初の顔ぶれも錚々たるものだった。1970年代に国務長官を務めたヘンリー・キッシンジャー氏、クリントン政権時代に国防長官を務めたウィリアム・ペリー氏、労働省長官や国務長官を歴任したジョージ・シュルツ氏らの名前が並び、それ以外にも海軍提督や上院議員などそうそうたる面々がそろっていた。昨年までセラノスのサイトには彼らの顔写真が掲載されていたが、今はごっそりと削除されている。彼らの名前がセラノスの信頼性を押し上げたのは言うまでもない。

 もちろん、ホームズCEOを持ち上げたメディアの責任も決して小さくない。教訓はこうしたメッドテック・スタートアップが増えるにつれ、専門の科学者でもその正偽の判断が評価できないようなテクノロジーがこれからも世に出てくることだ。シリコンバレーのスタートアップの領域がインターネットビジネスにとどまっていた過去とは異なり、スタートアップのテクノロジーを簡単に評価できない時代がやってきたと言えそうだ。