Facebookは企業に対して、ユーザーのメッセージの内容を自然言語処理(NLP)によって理解するボットを開発するためのクラウドサービス「wit.ai Bot Engine」も提供する。「wit.ai」は2015年1月にFacebookが買収したNLPプラットフォームだ。

 Facebookのメッセンジャー事業を統括するDavid Marcus氏(写真11)はF8の基調講演で、「ユーザーはスマホアプリをダウンロードしなくなり始めている」「いまだに多くの企業が電話窓口を設け続けている」と指摘し、Facebookメッセンジャーのボットがスマホアプリや企業の電話窓口に代わるものになると主張した。

写真11●メッセンジャー事業を統括するDavid Marcus氏
[画像のクリックで拡大表示]

 Facebookの狙いは、Facebookメッセンジャーをボットのプラットフォームにすること、言い換えればスマホアプリにおける米Appleの「iTunes Store」や米Googleの「Play」のような存在にすることである。これまでFacebookの中で面白いアプリやWebサイトを見つけたユーザーは、もれなくFacebookの外の世界へ流出していた。ボットがスマホアプリにとって代われば、ほかのアプリに流れていたユーザーをFacebookの「エコシステム(生態系)」の中に囲い込んでおけるようになる。

「キラーアプリ」ならぬ「キラーボット」が必要

 しかし記者がいくつかボットを試した範囲では、現状の自然言語処理の能力では、ボットが企業の電話窓口に取って代わるのは難しいと感じた。またMessenger Platformに決済機能などプラットフォームとして必須の機能が追加されなければ、ボットがスマホアプリを置き換えることも当面は無いだろう。

 ボットが本当にスマホアプリや電話に代わる存在になれるのか。そのためにはまずはFacebook自身が、誰もがボットを使ってみたくなる「キラーボット(キラーアプリのようなボット)」を生み出し、ボットの威力を世の中に示す必要があるだろう。