Microsoftがこれまで提供してきた機械学習クラウドの「Azure Machine Learning(ML)」は、機械学習のモデルの設計や教師データを使った学習などをユーザーが実行する必要があった。今回発表したMicrosoft Cognitive Servicesでは、モデルの設計や学習の必要は無い。各種のAIの機能は、Microsoftが機械学習を使って開発した。特に画像認識機能には、「ディープラーニング」を採用している。

メッセンジャーアプリからピザを注文

写真2●Bot Frameworkで開発したピザ注文ボット
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 Microsoftはまた、音声認識や画像認識の機能を備えたボットプログラムと、「Skype」や「Faceook Messenger」「LINE」といったメッセンジャープログラムを連携させる仕組みである「Microsoft Bot Framework」も提供する。

 Microsoft Bot Frameworkを使うと、ボットプログラムがメッセンジャープログラムを通じてユーザーと会話できるようになる。Build 2016の基調講演では、「ピザチェーンが用意したボットがSkypeを使ってユーザーと会話して、ユーザーからのピザの注文を受け付ける」というデモを披露した(写真2)。

Windows上でLinux用プログラムが動作

 Microsoftは2016年夏に、Windows 10に様々な機能を追加する「Windows 10 Anniversary Update」をリリースする。これを適用するとWindows 10で、Linuxのコマンドライン(シェル)である「Bash」や、Linux用のプログラムが稼働できるようになる。Nadella CEOは「開発者が利用するプラットフォームとしてのWindows 10の魅力を高める」ことが狙いだと語る。

 仮想マシン(VM)などは使わずに、Windowsのサブシステムとして「Ubuntu Linux」を稼働させ、そこでLinuxのプログラムを稼働する。LinuxのシステムコールはWindowsのシステムコールにリアルタイムに変換される。Microsoftはこの仕組みを「Windows Subsystem for Linux」と呼ぶ。

写真3●Windows上で稼働するエディタの「Emacs」
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 例えば、Linuxにおけるプログラムのインストールコマンドである「apt-get」コマンドを使って、「Emacs」や「vi」といったエディタや、Linux用の「Ruby」の実行環境、インメモリーデータベースの「Redis」などをインストールして利用できる。Build 2016の基調講演では、エディタの「Emacs」をWindows上で利用するというデモを披露している(写真3)。

 Microsoftは近年、クラウドサービスの「Microsoft Azure」でLinux仮想マシンを提供したり、Linux用の「SQL Server」を発表したりするなど、Linux関連の取り組みを充実させている。しかしLinuxアプリケーションの開発環境としては、Windowsではなく、アップルの「OS X」やLinuxの方が優勢だった。BashやUbuntuをWindows上で利用可能にすることで、Linuxアプリケーションの開発者をWindowsに呼び込むことを目指す。