VRに「動き」が加わる楽しさ

 今回の「The Mummy」のVR体験は、それら全ての面白さに加えて座席の動きが加わった。映画の中では飛行機の機体が揺れたり、俳優たちが無重力状態で浮いたりする。あるいは無重力状態の後にいきなり重力が戻って床にたたき付けられたりする。そうしたタイミングで座席が同じように揺れたり振動を伝えたりするのだ。

 このエクスペリエンスは「無重力体験」とうたわれていた。正直なところ無重力が感じられるほどダイナミックではなかったものの、映画の中の動きを体感できるというのが十分に説得力のあるものだった。

ハリウッドの新興企業が座席を開発

 この座席はハリウッドを拠点とするポジトロン(Positron)という製作会社が開発した。その場にいた担当者に話を聞いたところでは、映画の中の特徴的なシーンに合わせて椅子の動きをマニュアルにプログラムしているようだ。この座席には「ボイジャー( Voyager)」という名前がついている。同社は、ボイジャーを今年始めの「サンダンス・フィルムフェスティバル」で公開し、現在全米のイベントを巡回している。

 VRのエクスペリエンスは、船酔いがするとか、外界から閉じられて体験しているのが奇妙だなどと、新しいからこそいろいろな欠点が指摘されている。しかしこのコクーン型の座席ならば、安心して体験ができ、座っていてもVRの感覚が十分に味わえる。またVRはとかく視覚情報が過剰な感覚があるが、このボイジャーの体感でその欠点も補われるようだ。

 今や人々は自宅で「Netflix」や「Amazon.com」などの動画ストリーミングを見て、映画館に出かけなくなった。だがこんな座席が映画館に設置されていれば、少々観賞料は高いかもしれないが喜んで出かけるだろう。