Googleは従来、AWSが採用する1時間単位での従量課金制度や、リザーブドインスタンスなどを「柔軟性に欠ける」(GoogleのUrs Holzle上級副社長)として批判していた(写真2)。Google Compute Engineでは従量課金は1分単位であり、割引制度についても「毎月一定量のコンピュータ資源を利用したら、その後の利用料金を自動的に割り引く」という事前支払いが必要ない制度を採用していた。

写真2●AWSのリザーブドインスタンスを批判するGoogleのUrs Holzle上級副社長
「リザーブドインスタンスは複雑すぎるので最適化するための“大臣”が必要だ」との趣旨だった
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 Googleは分単位の従量課金制度や従来の割引制度を継続しつつ、今回新たにリザーブドインスタンスに似た割引制度を追加した。グーグル日本法人の阿部伸一Google Cloud日本代表は「料金の柔軟性よりも、料金が確実に予測できることや、料金が予算通りになることを重視するユーザー企業がある程度存在することを考慮した」と説明する。Googleが、ユーザー企業の情報システム部門が直面する「社内事情」にも配慮し始めたと言うわけだ。

 ただし柔軟さは維持したと主張する。AWSのリザーブドインスタンスの予約単位が仮想マシン(インスタンス)であるのに対して、Googleはプロセッサやメモリーといったリソース単位での予約である。仮想マシンのサイズなどを後から自由に変更できるため、Googleの方が柔軟だとする。

使用量に左右されないサポート料金制度を追加

 サポート制度に関しては、競合がまた実施していない新しい枠組みを導入した。Googleは今回、電話やメールでのサポート対応といった企業向けの有償サポートサービスにおいて、「Googleのサポート窓口に問い合わせるユーザー企業のエンジニアの人数に応じて月額課金する」という新しい料金制度を導入したのだ。

 料金はサポート内容に応じて異なる。問い合わせに対して4~8時間以内に応答する「Development Engineering Support」は1ユーザー当たり月額100ドル、1時間以内に応答する「Production Engineering Support」は1ユーザー当たり月額250ドル、24時間週7日体制で15分以内に応答する「On-call Engineering Support」は1ユーザー当たり月額1500ドルとなる。

 Googleの従来のサポート料金制度は、GCPの利用料金に3~9%を上乗せするというものだった。こうした利用料金に基づくサポート料金制度は、AWSと同じであった。新たに追加したサポート料金制度では、ユーザー企業がどれだけGCPを利用しても、エンジニアの数が変わらなければ、サポート料金は一定となる。少ないエンジニアの人数で大量のコンピュータ資源を利用するような新興スタートアップにとって、有利な制度と言えそうだ。

 米Amazon.comが2017年2月に発表した2016年12月期決算によれば、AWSの年間売上高は2016年に122億1900万ドルに達した。米国での報道によれば、Google Cloudの年間売上高は2016年の時点で10億ドル程度とされている。Google CloudとAWSの差は10倍にまで広がっており、Googleとしてはあの手この手でAWSに追従する必要がある。