シリコンバレーの数あるスタートアップの中でも、最近特に悪いニュースばかり出てきているのが米Uber Technologiesだ。目に余る行為があまりにも多いため、配車サービス「Uber」をボイコットする運動が発生するほど、ユーザーに嫌われ始めている。

写真●米Uber TechnologiesのTravis Kalanick CEO(最高経営責任者)
撮影:中田 敦
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 直近に発生したトラブルは、同社に在籍していた元エンジニアの女性がブログにつづった内容に関するもの。2017年2月末に彼女は、上司からセクシャルハラスメントを受け、それを人事部に報告したにも関わらず無視されたと訴えた。彼女は部署を異動した後も、業績評価や異動希望で腑に落ちない処置を受けたのだという。それをその都度人事部に報告していたが、ついには「問題はあなたの方にあるのではないか」と言われてしまった。

 彼女のブログがネット上で広まって、「Uber」のボイコット運動が「再燃した」。再燃したというのは、僅か1カ月前にもUberに対するボイコットが起こっていたからである。

スト破りに抗議して「Uberアプリを削除しよう」の声

 こちらのボイコット運動は、トランプ大統領が「全ての国の難民の120日間入国禁止、シリアからの難民の入国を永遠に禁止、7カ国の国籍保持者の入国を90日禁止」するという大統領令を発令した1月末に起こった。全米の空港で大統領令に反対する抗議活動が繰り広げられ、ニューヨークのケネディー国際空港でも多くの人々が集まった。その抗議活動にはタクシー運転手も大勢参加し、空港でのタクシーのサービス提供を中止することで抗議の意思を表明するストライキに打って出た。

 ところがUberは、タクシー運転手のストライキを自社のアピールに利用した。空港周辺のタクシーが手薄になると嗅ぎ付けたUberが、「Twitter」の公式アカウントで「ケネディー国際空港付近では割増料金を停止します」と呼びかけたのだ。タクシー運転手がストライキを始めたのは土曜日夕方のことだった。通常ならば土曜夕方のような需要の多い時間帯には、Uberは割増料金を設定する。それを停止するから、利用者の皆さんにはぜひUberを使ってほしい、と宣伝したわけだ。

 多くの人々が真剣に抗議活動を行っている最中に、あからさまに利己的な儲け主義を露にしたUberは、タクシー運転手のストライキを止めさせようとしたのではないかとまで批判された。そしてツイッターでは多くのユーザーが「#deleteuber」というハッシュタグを使って、Uberをボイコットする運動を広めていったのだ。これはUberのアプリをスマートフォンから削除しようという呼びかけだ。

 実はUberの目に余る行為はもう何年も続いている。例えばUberを批判する記事を書いたジャーナリストに対して、同社のツールを使えば「プライベートな生活や家族のことなどすぐに分かる」と同社重役が発言。ユーザーのプライバシーを侵害し、それをジャーナリストを黙らせるために利用することもいとわないことが明らかになった。2014年のことだ。