米IT大手の17年10~12月期決算を俯瞰すると、各社ともこの4半期は業績が非常に好調だった(表2)。売り上げが伸びているにも関わらず、純利益で赤字転落した企業が目立つのは、米国外に蓄積した利益を米国に環流するための特別費用を計上した企業が多かったため。17年12月末に米トランプ政権が法人税制を改正し、従来よりも低い税率で国外の利益を米国内に戻せるようになった。AlphabetやMicrosoft、Facebook、IBM、Qualcommが数十億ドル規模の巨額の特別費用を計上している。

表2●米IT企業の2017年10~12月期決算(米ドル)
*1:AWSは営業利益、*2:「現金および現金等価物」と「短期有価証券」の合計 *3:2018年2月5日(米国時間)時点
企業名売上高税引き前利益*1純利益手元流動性*2時価総額*3
Apple882億9300万(12.7%)270億3000万(11.8%)200億6500万(12.2%)771億5300万8034億
Alphabet323億2300万(24.0%)80億1800万(16.9%)▲30億2000万(-)1018億7100万7357億
Microsoft289億1800万(12.0%)91億6900万(14.3%)▲63億200万(-)1427億8000万6788億
Amazon.com604億5300万(38.2%)18億7200万(60.5%)18億5600万(147.8%)309億8600万6698億
(AWS)51億1300万(44.6%)13億5400万(46.2%)
Facebook129億7200万(47.3%)74億6200万(64.6%)42億6800万(19.6%)417億1100万5267億
Intel170億5300万(4.1%)60億3500万(35.9%)▲6億8700万(-)52億4700万2083億
IBM225億4300万(3.6%)44億6900万(▲10.4%)▲10億5400万(-)125億8000万1412億
Qualcomm60億6800万(1.2%)▲2700万(-)▲59億5300万(-)354億300万910億

 各社が米国に利益を還元したことによって、米国内でのM&A(買収と統合)が加速する可能性もある。これまでは米国外に留めていた利益を使って、米国内の企業を買収するために、法人税の課税を回避するための複雑なスキームを組む必要があった。そうした手間が不要になる。

 IT大手は現在、膨大な手元流動性(「現金および現金等価物」と市場で換金しやすい「短期有価証券」の合計)をため込んでいる。例えばMicrosoftがため込んだ1427億8000万ドル(約15兆5000億円)は、IBM(株式時価総額1412億ドル)をキャッシュで買収できるほどの規模だ。IT大手による大規模なM&Aがいつ起きても不思議ではない。

大手金融機関に匹敵するAppleの資金力

 なおAppleの手元流動性は771億5300万ドルと、売上高や利益額の規模の割に小さいが、同社はその代わりに「長期有価証券」を2079億4400万ドル(約22兆5700億円)も保有している。Appleの「投資ファンド」としての規模は、大手金融機関に匹敵する。

 Appleは2018年1月17日に、米国の製造業に投資する「Advanced Manufacturing Fund」の規模を10億ドルから50億ドルに増額すると発表している。投資ファンドとしてのAppleの動向は、今後ますます世間の耳目を集めそうだ。