しかも、取り上げられた企業名はほんの一部だろう。ネットにつながったIoT製品といえば、電灯や家庭用セキュリティカメラ、ドアノブ、そして毛布まである。最近は赤ちゃんにセンサーを付けて、体の動きや親とのやり取りをモニターする仕組みまで出ている。

 こういったIoTデバイスからは、メールなどを監視するだけでは得られないような日々の生活感あふれるデータを入手できることだろう。IoTデバイスもそうだが、インターネットサービスでも暗号化されていないものはまだまだある。

 以前聞いた話だが、ユーザーの行動を「学習」するタイプのIoTデバイスでは、生身の人間が機械に「教師データ」を与えて学習させていることもあるという。つまり、IoTが撮影した画像を人間が見て内容を判断し、「こういう時にはユーザーは○○をしようとしている」といったことを機械に教えるのである。こうした情報までもが収集対象になったら、ユーザーの生活は丸裸になってしまうだろう。

表紙に「Don't Panic」とあるのはSF作品「銀河ヒッチハイク・ガイド」のパロディだろう

 面白いのは、このレポートは政府関係者に「安心して下さい、暗闇ではありませんよ」と言いながら、一般ユーザーには警告を発している点だろう。調査とレポート作成に参加したのは、ハーバード大学の上記センターのメンバーに加えて、セキュリティの専門家として知られるBruce Schneier氏や、NSAの元職員や現職の関係者もいる。

 レポートのタイトルも「Don’t Panic: Making Progress on the ‘Going Dark’ Debate(パニック不要:暗闇議論を一歩進める)」と政府寄りになっているが、ここからより多くを読み取るべきは我々一般のユーザーだろう(上図)。

 生活の内側まで入り込んでくるIoTデバイスがいったいどういうものなのか、実のところ我々には全くその知識が欠けているのだと、こういうレポートが教えてくれる。