同様の署名運動は2013年にも起こり、こちらには16万8000人が署名したが、ホワイトハウスが却下している。オバマ大統領は、スノーデンは帰国して法的なプロセス、つまり裁判を受けるべきだという主張だった。2016年秋にもオバマ大統領は「スノーデン氏の懸念は道理に合ったもの」としながら、「裁判所に出頭しない人間を恩赦にできない」と、あるインタビューで述べている。

 一方、スノーデン氏を支持する人々は、裁判になると1917年に制定された時代遅れのスパイ活動法によって裁かれ、終身刑になる可能性が高いと主張してきた。

 人権擁護団体が急いでいるのは、トランプ政権に移行した後の状況が見えないからである。いや、見えないと言うよりも、移行後についてはかなり悲観的だ。

トランプ新政権には望み薄

 トランプ氏自身も含め、新政権は監視強行派が多く、ことにCIA長官就任が予定されるマイク・ポンペオ下院議員は「スノーデンには死刑を」と語ったこともある。公平な裁判はあり得ないため、オバマ政権による恩赦に望みをかけているのだ。また、親ロシア的な立場を取るトランプ次期大統領に対して、プーチン大統領がスノーデン氏を引き渡すのではないかという恐れもある。

 オバマ大統領に対する一般的な印象では、トランプ新政権に対して人権擁護のスタンスを示すためにも、恩赦を与えるのではないかとも期待されてきた。だが、見通しは明るくない。そんな中で、スノーデンをスパイ視する本が出版されたりもした。支持者は崖っぷちから訴えを続けている状況だ。

 オバマ大統領は、トランプ次期大統領が就任宣誓をする1月20日正午まで恩赦を出すことが可能だ。実際にクリントン大統領は、政権終了の数時間前に恩赦を出したことがある。スノーデン氏に恩赦を与えるか否かは、国家の安全保障とプライバシーのバランスに関わる重要問題であることは確かだ。オバマ政権が終了するその瞬間まで、期待をかけたいと思う。