米Intelが近年、スポーツに力を入れている。スポーツのユニークな中継やVR(仮想現実)体験などを実現するスタートアップをIntelが買収するケースが増えているのだ。「VR中継」が大きな商機になると期待しているようだ。

 Intelが2016年秋に買収したVokeというスタートアップは、VR映像を撮影する装置「TrueVR」を開発している(写真1)。

写真1●米Vokeの「TrueVR」
出典:米Voke
[画像のクリックで拡大表示]

 立体カメラがパノラマ状に複数配置されたTrueVRを使ってスポーツやファッションショーを撮影すると、没入感のあるVR映像を撮影できる。解像度が高く歪みも少ないため、自然な臨場感が味わえるという(写真2)。

写真2●TrueVRでの撮影風景
出典:米Voke
[画像のクリックで拡大表示]

 Intelが2016年3月に買収したイスラエルのReplay Technologiesの技術にも、驚くべきものがある。Replay Technologiesはスポーツのライブ放送でハイライト部分を数分後に再生する技術を開発している。

 そのハイライト映像では、バスケットボールの選手やゴールが浮き上がっているように立体的に見え、さらにその視点が回転することで、まるで3次元の動画を見ているようになる。前述のVokeのVR映像を見るためにはヘッドマウントディスプレイなどの装着が必要だったが、Replay Technologiesの場合はヘッドマウントディスプレイの装着は不要で、裸眼で立体的な映像を楽しめる。

30台のカメラで撮影して3次元映像を作成

 Replay Technologiesが開発した技術は、スタジアムに30台ほどのカメラを設置し、そこからの画像を合体させて立体的な映像を作り出す。各カメラが撮影した映像は2次元だが、それを複数組み合わせることで3次元のような映像を作り出す。視聴者はゲームのハイライト画面が立体的に回転する中で、選手の動きやゴール、観客の様子などをじっくりと楽しめるという仕組みだ。試合会場でも味わえないようなユニークな体験が実現する。

 Intelは2016年、新たにスポーツ部門を作っている。最初にそれを聞いた際には「Intelにスポーツ部門?」と不思議に思ったが、Intelとしてはプロスポーツの生中継やスタジアムでの「ユーザー体験」を高度化していくためには、今後コンピュータの処理能力の向上が欠かせないと考え、それに備えたということだろう。理にかなったものだ。