一方、禅僧たちにとって、絵を描くのはやはり修行の一環だったに違いない。ほとんど抽象画としか思えない雪舟の《破墨山水図》や、画僧たちが墨でただ円を描いた「円相」などのテーマの絵画は、目に見える風景を写すだけでは出てこない。墨という単色の素材でいかに豊かな、あるいは深みのある世界を表すか。それは、画家たちが宗教者だったことが密接にかかわっていたと考えるのが自然である。

 そんな思いをもって雪村の絵を眺めれば、その「奇想」は単に奇をてらっただけの表現とは映らなくなってくる。自らの思考の世界をいかにリアルに表現するかを追求した結果が雪村の「奇想」になったと考えてみてはどうだろうか。

特別展「雪村─奇想の誕生─」

東京藝術大学大学美術館(東京都台東区)、2017年3月28日〜5月21日
MIHO MUSEUM(滋賀県甲賀市)、2017年8月1日〜9月3日