「Great Place to Work Institute Japan」(GPTWジャパン)が「働きがいのある会社」女性ランキングを発表した。
このランキング選出の基になっている調査では、女性のほうが男性よりも働きがいのスコアが低いことも明らかになった。日本は男女間の賃金格差や女性管理職比率の低さなど、女性の活躍推進が遅れている。2023年度から日本の上場企業を中心に人的資本の情報開示が義務付けられることで、この遅れの改善が期待されるが、情報を開示するだけでは不十分だ。開示とともに、企業に求められる施策を専門家に聞いた。
3月2日、従業員の意識調査を行う機関「Great Place to Work Institute Japan」(GPTWジャパン、登記社名は「働きがいのある会社研究所」、東京・港区)が2023年版 日本における「働きがいのある会社」女性ランキングを発表した。同社が考える「働きがいのある会社」とは、「働きやすさ」と「やりがい」の両方を兼ね備えた組織だ。
従業員が1000人以上の大規模部門で1位になったのは、人材サービスの「レバレジーズグループ」(東京・渋谷)。100~999人の中規模部門の1位は、不動産業の「フロンティアホールディングス」(大阪市)。25~99人の小規模部門はエステティックサロンを運営する「Aphros Queen(アフロスクイーン)」(東京・渋谷)だった。
女性ランキングは、23年版「働きがいのある会社」調査(21年7月~22年9月調査)における「働きがい認定企業」から選出。女性従業員のアンケート結果と女性従業員比率などのデータから、「女性の働きがい」を評価した。
仕事に特別な意味を見いだせない
注目したいのは、女性が考える「働きがい」。このランキング選出の基になっている「働きがいのある会社」調査のアンケートでは、従業員に向けた設問60問のうち、女性のスコアが男性よりも高かったのはたったの8問。女性よりも男性のほうが「働きがい」を感じていることが分かった。
特に差が大きかったのは「私の仕事には特別な意味がある」という問いだ。「ある」と答えた人は、女性が54.2%、男性は63%と8.8ポイントの差があった。この設問に対する女性のスコアは、他の設問に比べても低く、仕事に特別な意味を見いだせていない人が多いようだ。
やりがいを感じてもらうためにはどうしたらいいのか。GPTWジャパンの荒川陽子代表は、「上司の影響力は大きい。部下が何にやりがいを感じるのかを話し合い、漠然と捉えるのではなく、しっかりと言語化して相互理解をすることが重要」と指摘する。
そのためには、1対1で対話する機会を2週間に1度設けるなど、制度面の工夫が欠かせない。さらに普段の仕事から、部下が何に対して喜怒哀楽を感じているかを観察することも大切だという。仕事に「特別な意味」をひも付ける作業は、組織全体で行う必要があるのかもしれない。
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