リスクを覚悟で提供する、社員のキャリア自律支援制度
世代別のキャリアパスを会社側が社員に提供している例はまだ少ないと思います。WHIでは、社員の成長を支援する制度の運用を始められたそうですが、どのようなものなのでしょうか。
安斎氏:22年7月からキャリア自律支援制度の運用を刷新しました。まず職種を11種類に分類し、それぞれ1から6までのグレードを設けています。すると例えば「今の自分は営業職でグレード2」だと明確に分かるようになります。そこで「グレード3を目指そう」と思えば継続し、「自分には違う職種のほうがいいかもしれない」と思ったら、他部署に移ることができます。キャリアについて計画し、実行し、その評価を振り返る。このサイクルを持続することで自分のコアができていきます。
また「キャリアディスカバリーシート」というものがあり、来年、5年後、10年後、自分は何をしているのかを想像して書いてもらいます。最初は意外に書けないものなのですが、毎年書くことでだんだんと想像できるようになっていきます。
社員一人ひとりがキャリアの目標を考える自律性が養われますね。
安斎氏:その結果、社員が「この会社じゃないな」と思う危険性はあります。しかしそれは仕方がありません。もちろん優秀な人には残っていてほしいですが、それぞれの人生ですから送り出すしかないと思っています。
優秀な人を送り出す、と考えることができる経営者は増えるといいですね。翻って副業に関しても、他社に移られる心配が先行して、解禁したくないという経営者はいるでしょう。
安斎氏:社員が副業をしてみても「やっぱりこの会社のほうがいいな」と思ってもらえる会社にしなければならないと思います。自律支援制度を提供している以上、ある程度のリスクは受け入れなければなりません。その人が「WHIでこれだけ鍛えられました」と言って活躍してくれたら御の字です。「WHIの卒業生はいいね、WHIはいい人材を輩出するんだね」と言われるようになりたいですね。

(構成:都田ミツコ)
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