企業の働きがいを調査・分析するGreat Place to Work Institute Japan(GPTW)の代表・荒川陽子氏が働きがいのある企業の取り組みを紹介する本連載。今回は、半導体・電子部品向け精密加工装置メーカーのディスコ。関家一馬社長兼CEO(最高経営責任者)は「ES (従業員満足度)を下げる要素を徹底的に減らすことが重要」と考え、社内の人間関係を改善することからスタートした。さらに「個人別管理会計制度(個人Will会計)」を活用することで社内業務に伴う不満の解消に成功している。関家社長に、そのユニークな取り組みについて聞いた。

社員の発案でES調査を開始

 2020年の新型コロナウイルス禍以降、半導体需要は増大している。そんな中、半導体製造装置大手のディスコは、22年度には過去最高益を記録。グループ全体で従業員約6000人を抱える組織でありながら、同社の従業員の働きがいは非常に高い。GPTWが実施する22年版「日本における働きがいのある会社」ランキング(大規模部門:従業員数1000人以上)では第4位、シニアランキング(管理職を除く55歳以上)では第1位を獲得している。

 同社が働きがいに注目したのは、03年にES(従業員満足度)調査を開始したのがきっかけだった。これは、ある1人の社員の声から始まったことだという。

 「もともと、長くCS(顧客満足度)を計測していました。その流れで、ESも測ってみよう、と提案を受けたのです。当社では『内的動機経営』を掲げ、各社員の『やりたい』という動機に従うことを重視しています。やり続けるうちに、内的動機経営とESがつながった。組織にとってESは大事だと確信に変わったのは、10年ごろだったと思います」と関家一馬社長は振り返る。

 「当社の働きがいが、世の中の企業と比べてどれくらいの水準なのかを知りたい」と考えた関家社長は、09年に初めてGPTWが開催する働きがいのある会社ランキングに応募した。

 「初回は11位以下でした。それ以降の数年は、10位に入ったり入らなかったり。5位以内にランクインできるようになったのは、ここ5~6年のことだと思います。ES調査自体は、最初は計測をしたことでぐんと上がるのですが、そこからは横ばいから微増を続けています。項目によっては上下することはありますが、総合点はここ10年下がったことはありません」

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