新型コロナウイルスのまん延を機にオンライン化が進んだ採用活動。しかし、そのメリットを十分に享受できるのは一部の人気企業にすぎず、あえて対面で採用活動をしたほうがよい会社もある。ポストコロナ時代の新卒採用とは?

 2024年春の卒業(以下、24年卒)を予定している学生の就職戦線が本格的にスタートしました。既に早期選考を実施し、内定を出している企業もあるものの、政府が主導する現行の採用活動のルールでは、23年3月1日から広報活動が解禁となり、ここから会社説明会が始まります。

 まずエントリーをし、会社説明会に参加した後、場合によってエントリーシートを提出したり、適性テストを受けたりします。その後、面接やグループワークなどの選考を経て内定、というのが一般的な選考フローです。この流れは、今も昔もほぼ変わりません。

 大きく変わったのは、その実施手法です。コロナ禍を機に、これまでの対面から一気にオンラインになりました。とりわけ21年卒、22年卒はそれが顕著で、学生と一度も直接会うことなく、内定を出した企業も少なくありませんでした。

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)

オンラインと対面の「ハイブリッド型」へ

 オンラインと対面でのコミュニケーションには、それぞれ特徴があります。

 オンラインの会社説明会では、学生は言語情報(スライドの文字からの情報)はより理解できるものの、非言語情報(社員の人柄や職場の雰囲気)は把握しづらいかもしれません。一方、企業側からすると、「学生の人となりが見えにくい」などの声があります。

 このため昨年、23年卒は、オンラインの良さと対面の良さの両方を生かそうという「ハイブリッド型」の企業が増えました。例えば、会社説明会や1次選考はオンラインで、2次選考以降は対面といったように、です。

 これから始まる24年卒の採用活動は、ハイブリッド型がさらに増えると思います。コロナ禍前の採用活動は対面が当たり前で、「感染の流行が収束したら以前のような形に戻る」といわれていましたが、今後は従来にはなかった新しい形になるのでしょう。

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