ビジネスにおいて「世の中の動向をどう捉えるか」は、とても重要な要素。しかし皆と同じ見方をしていては、勝負には勝てません。今回は、そんな状況の捉え方を変えるためのユニークな哲学的思考法を紹介します。
「先を見る力」哲学思考ではどう捉える?
毎年年末になると、雑誌をはじめさまざまなメディアで「新しい年はどうなるか」「世界はどうなっていくのか」を予測する特集が組まれるのを目にすると思います。それもそのはず、ビジネスで成功する秘訣は、突き詰めれば「今後の世の中の動きをどう捉えるか」。先を見る力こそ、ビジネスをする上で最も重要な要素といっても過言ではありません。
ただ、ここで大切なのは、いかに他と違う独創的な予測をするかです。マクロデータ分析や識者の知見まで世の中にはさまざまな予測があふれていますが、それらは往々にして似通っています。そうしたある意味「まっとう」な予想は当然、ほかの誰かも把握しており、それに対応した戦略を打ち出してくる。そんな状況で自分たちもまっとうな予想を前提に同じような見方をし、同じようなことをしていては、大きな成果を上げられません。

世の中の動向だけでなく、物事の状況をどう捉えるか。当たり前の方法以外にも、ビジネスを優位に進められるユニークな方法があります。状況の捉え方を変えるための哲学的思考法を紹介しましょう。
知り得ないことは予想がつかない
最初に紹介するのは、フランスの現代思想家メイヤスーの「思弁的実在論」です。メイヤスーは、この世には私たちの知り得ない領域があると言います。確かに、人間はすべての物事を知っているわけではありません。ということは、「知らない領域については、何が起こるか全く予想がつかない」わけです。
しかし、なぜか私たちは、「自分の知っている出来事は、次の瞬間も当たり前のように起こる」と思っています。明日も朝になれば日が昇り、同じように時間が過ぎ、また夜が来ると思っていますよね。けれど、一体どこにそんな保証があるのでしょう? 知り得ないことがある以上、世界が突然別様になる可能性もあるのです。
明日どころか、次の瞬間突然時間が止まったり、地球が逆回転を始めたり、はたまたすべてが一瞬で消滅しないとも言い切れません。一見常軌を逸していると思うかもしれませんが、これこそがほかにはない哲学的な捉え方なのです。
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