仕事をする上で、多くの人が直面する「英語をなんとかしなくちゃ問題」。新型コロナウイルスの水際対策が緩和されて、海外出張へ行けるようになったり、インバウンド需要が戻ってきたりする中で、今後「英語力」を求められる場面も増えてくると考えられます。忙しい社会人が効率よく、英語学習をするためにはどうすればいいのでしょうか。この連載では、AI(人工知能)英語教材アプリ「abceed(エービーシード)」を提供しているGlobee(グロービー、東京・港)代表の幾嶋研三郎さんに、「効率最大化で挫折しない英語学習」のポイントやコツを教えてもらいます。

大学受験で英語に力を入れたのに、ネイティブの話す英語を聞き取れなかった

 AI英語教材「abceed」を提供する会社を経営している私ですが、学生時代に留学経験はなく、もともと英語を話せたわけではありませんでした。「日常英会話」「ビジネス英会話」「受験英語」英語能力テスト「TOEIC」すべてに苦労した自分だからこそ、この連載ではそれぞれの学習方法の違いや学ぶポイントなどを当事者目線で解説します。また、「abceed」には社会人のユーザーも多くいるので、彼らの声も踏まえ、「仕事をしながら効率よく英語学習を続けられる方法」も紹介していきます。

 私が英語学習を本格的に始めたのは、大学2年生のときです。大学受験を頑張っていて、特に英語に力を入れていたのに、大学に入ったらネイティブスピーカーが話す簡単な英語さえ聞き取ることができませんでした。

 必死に受験英語を勉強したのに、なぜ話せないのか。その理由は、受験英語は実践で役に立つかよりも、いかに難解な英文を読解して処理するかという「情報処理能力」を求められるからです。大学受験用の英語教材を読んだネイティブスピーカーから「私たちでも理解するのが難しい内容だ」と言われるほど、「受験英語」と「日常英会話」では内容が大きく異なります。

 そこで私は、日常的に使える英語学習に力を入れました。「英語が母国語の留学生と仲良くなる」「1日30分以上、英語を学ぶ」「英語の授業を多く選択する」という目標を立てて実行し、1年ほどで日常英会話をマスターすることができました。

 英語を勉強していると、「自分も学びたい」という仲間が集まるようになり、大学3年生のときに英語学習をするサークルを立ち上げました。それが、Globeeの原点です。

「大学では留学生のほか、帰国子女も多くいたので、自然と英語を学べる環境でした。『Hang out!(遊ぼう)』と話しかけて仲良くなり、『これってどういう意味?』と質問して、英語の表現を教えてもらっていました」
「大学では留学生のほか、帰国子女も多くいたので、自然と英語を学べる環境でした。『Hang out!(遊ぼう)』と話しかけて仲良くなり、『これってどういう意味?』と質問して、英語の表現を教えてもらっていました」

次ページ 「発音」は一生モノのスキルになる