ストレスは目にも容赦なくダメージを与える。前回ご紹介した「ドライアイ」の悪化にとどまらず、「老眼」の進行や失明原因の1位「緑内障」にも関係してくるというのだから、見逃すわけにはいかない。知っておくべき予防策や改善法について慶応義塾大学医学部研究員で、おおたけ眼科(神奈川県)の綾木雅彦院長に聞いた。
前回の記事(ストレスとドライアイ 花粉時期は要注意、改善の3つの習慣)では、ストレスがドライアイを引き起こすことや、ドライアイを放置すると花粉症が悪化しやすいという解説があった。
慶応義塾大学医学部研究員・おおたけ眼科の綾木雅彦院長(以下、綾木院長):実は、ストレスは老眼の進行にも関わります。
老眼は、40代以上から発生する目の老化現象だ。レンズの役割をしている「水晶体」が弾力性をなくして硬くなり、水晶体の厚みを変化させてピント調節をする筋肉・毛様体筋も衰えることで、目のピント調節機能が低下してしまう。この状態は、「近くの物が見えづらい」「視界がぼやける」「疲れやすくなる」といった目の不具合を引き起こす。加齢のせいだと思われていたこの目の不調がストレスと関係があるとは、どういうことだろうか。
綾木院長:瞳はカメラの絞りに相当するため、暗い場所では瞳が広がってピントが合いにくくなり、文字が読みにくくなります。同様にストレスを受け続けるとアドレナリンが出て瞳が広がるため、ピントが合いにくくなって老眼が進行するのです。
また、ドライアイも老眼の悪化に関わることが私の研究で分かっています。
どうやら、ストレスで老眼が悪化するだけでなく、ストレスで引き起こされるドライアイによっても老眼が悪化するようだ。
綾木院長:目は近くを見るときにピント調節運動をします。その調節力が落ちて近くにピントが合わせられないのが老眼です。ドライアイも中高年の老眼世代に多い病気。目の表面が乾き、涙の膜がまだら状やデコボコ状になってしまうため、目に入る光が散らばり画像が乱れてピントが合いにくくなることで、老眼が悪化傾向になります。
私自身はひどいドライアイだが、近視のせいか近くが見えづらいということはない。
綾木院長:近視のある人などは老眼を自覚しにくいといわれています。老眼は20代から始まり、自覚する人は40代以上で増えます。しかし、老眼で不便を感じ始める人や進行状況は人それぞれ。ただ、重大な目の疾病も関わることがあるので注意が必要です。
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