「ストレスと目」には大いに関係があると気づいていただろうか? 実はストレスという化け物は目にも襲い掛かって不調を引き起こす。追い打ちをかけ、悪化させるのが花粉症などのアレルギーの季節だ。健康ジャーナリスト・結城未来が「ストレス・花粉症・ドライアイ」の魔のトライアングルから脱出するためのヒントを、慶応義塾大学医学部眼科学教室特任准教授で、おおたけ眼科(神奈川県)の綾木雅彦院長に聞いた。
花粉症を筆頭にアレルギー症状は生活の質を落とす。かくいう私も花粉が大量に飛散する季節になると、目玉を取り出して丸洗いしたいほどのかゆみや痛みに悩まされ、集中力が格段に落ちる。
慶応義塾大学医学部眼科学教室特任准教授・おおたけ眼科の綾木雅彦院長(以下、綾木院長):それはつらいですね。ストレスも一因になっているかもしれません。
「花粉症によるストレス」という意味だろうか。
綾木院長:それもありますが、ストレスによってダメージを受けやすい目になっているのかもしれません。
ストレスが目にまで襲い掛かっているとは、まさに「盲点」だ。
綾木院長:目の不調はストレスサインの一つです。
ストレスが関係する目の病気としては、ドライアイ、緑内障、中心性網膜症(中心性漿液=しょうえき=性脈絡網膜症)などが挙げられます。
中でも、ドライアイ患者は日本に2000万人、世界に10憶人以上いるとされる身近な目の病気。オフィスワーカーの約6割がドライアイだという試算もあり、年々増えてきています。
涙には、目の健康を保つためにさまざまな役割があるという。
- 1.目の表面を潤して滑らかにすることで、視界を鮮明にする
- 2.殺菌作用を持つ物質で微生物の侵入や感染を防ぐ
- 3.目の表面の傷を治す
- 4.目の表面には血管がないため、代わりに酸素や栄養を届ける
それだけに、涙のトラブル・ドライアイは侮れない目の疾患だ。
綾木院長:「ドライアイ」は、涙の分泌量の不足や質の低下によって涙が目全体に均一に行き渡らなくなったために、目の痛みや不快感、見え方の低下など目の不調を引き起こす病気です。黒目の角膜や白目の結膜の細胞が傷つき細胞の自己修復能力も弱まるため、乾燥や外敵からの防御能力(バリアー機能)が落ちてしまい、さまざまな目のトラブルを引き起こしがちです。
ドライアイとストレスはどう関係するのだろうか。
綾木院長:目は副交感神経が優位になると、涙を流しやすくなります。ところが、ストレスを受け続けると体は緊張し交感神経優位に傾きます。目は見開きがちになり、まばたきの回数は減少するため涙の分泌量も激減してしまうのです。
ちなみに、不規則な生活習慣による自律神経の乱れや、パソコンやスマートフォンなどの液晶画面を長時間凝視することもドライアイを招く一因です。
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