正月明けで腹部の肉がいつも以上に気になる人も少なくないだろう。実はこの「浮輪腹」、さまざまな生活習慣病のリスクを招きがち。「飲み過ぎで、とうとうここに肉がたまるようになったよ」と笑い飛ばしている場合ではないのだ。しかも、ストレスと浮輪腹は関係が深いらしい。
そこで、健康ジャーナリスト・結城未来が、昭和大学客員教授で成城リハケア病院の院長でもある平泉裕医師に改善策を聞いた。

年齢を重ねて、一見痩せて見えても腹部はだぶついてきているという声が少なくない。下半身を隠すべく、腹部まで覆うゆったりした上着で隠しているのは、私だけではないだろう。

成城リハケア病院・平泉裕院長(以下、平泉院長):特に男性は浮輪のようにグルリと脂肪がとり囲む浮輪腹が目立ちますね。実は最近、私も浮輪腹になってショックを受けているところです。

あれ? 普段、トライアスロンやマラソンなど積極的に運動に取り組んでいるランニングドクターが浮輪腹?

平泉院長:過労によるストレスが原因のようです。

腹部の脂肪は食べ過ぎや運動不足などが原因の「怠け者脂肪」のイメージが強い。

平泉院長:確かに、浮輪のようにだぶついた腹部の主な原因は内臓脂肪の蓄積です。栄養摂取量が消費量を上回っていくと、不活発で動かしていない臓器の隙間を埋めるように個々の脂肪が肥大しがちです。

 でも、実はこの脂肪の増加は「ストレス」も原因の一つなのです。

私の場合、ストレスを感じると甘い菓子などに手を伸ばしがちだ。

平泉院長:ストレスが原因で脳が甘い物を欲しがるとか、アルコールやコーヒーなどの摂取量が増える傾向はあります。そのために腹部の脂肪が増えるという点もありますが、ストレスそのものがこの脂肪を増やす原因にもなっているのです。

ストレスと脂肪に直接関係があるとは、不思議な感じがする。

平泉院長:ストレスを受け続けると、脳からの刺激を受けて「コルチゾール」というホルモンが過剰に分泌され、腹部周辺の脂肪を蓄積していくのです。逆に、腹部に脂肪がつくことで「コルチゾール」の分泌が高まることもわかっています。

「コルチゾール」は、「ストレスホルモン」ともいわれている。浮輪腹の脂肪の中には、ストレスの塊も潜んでいるようだ。

平泉院長:この脂肪は、生活習慣病の悪化因子でもあります。浮輪腹、つまり内臓肥満はメタボリックシンドロームの大きな危険因子です。

 内臓脂肪が異常に蓄積してしまうと、肝臓や骨格筋でインスリンが効きにくくなり血糖値を正常に戻せなくなるため、血圧や血中脂質に悪影響。高血圧、糖尿病、高血糖や脂質異常症などのリスクの原因となるのです。心臓では、心筋症の誘因にもなります。

まるで、生活習慣病のデパートだ。

平泉院長:その二次的結果として脂肪組織以外の組織に脂肪が異常蓄積すると、その組織の機能不全を招くと同時に動脈硬化などの発症にもつながってしまいます。

どうやら、ストレスを減らし健康になりたければ、まずはこの浮輪腹を改善することが近道のようだ。

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