共通テストの志願者数は今後も減っていく

 現役生の人口減少が続くことで、今後も共通テストの志願者数は減っていくことが予想される。さらに、共通テストが難化しているために、私立大学を志望する受験生が受けづらくなっていると井沢氏は指摘する。

 「センター試験の頃は、私立大学の一般入試が2月から始まるので、その前に力試しとして受ける面もあったと思います。しかし、現在の共通テストは、私立大学の一般入試とは傾向がまったく違うため、受けても力試しにはならないといわれています。一般的な私立大学を志望する受験生にとっては、対策もしづらいのではないでしょうか」

 また、共通テストは25年度に大きく変わることが決まっている。22年4月に高校に入学した生徒から、新しい学習指導要領に基づく授業が行われていることから、出題される教科や内容が変更されるのだ。

 中でも最も大きな変更は、新たな教科として「情報」が加わることだ。国立大学では必須科目とされるが、北海道大学をはじめ一部の大学では、受験を課すものの、成績については配点しないなどといった方針を打ち出している。

 そもそも、高校の現場では「情報」を教えることができる教員は不足している。都市部の進学校ならまだしも、地方では教員確保は難しいだろう。「情報」以外でも、科目の構成が変わる教科があるほか、問題の数や質も変わるとみられている。

 前述した浪人生の志願者数が激減したのは、共通テストが導入された年だった。センター試験からは傾向が大きく変わるので、前年に比して現役志向が高まったのだ。25年度の変更も、その流れに拍車をかけて、浪人生がさらに減る可能性がある。同時に、私立大学を専願する受験生の共通テスト離れが進む可能性もある。

 もちろん国立大学では、共通テストの成績がそのまま合否に直接つながる大学も多い。共通テスト自体はなくなることはないものの、受験生の多くが受けていた時代とは、役割が変わりつつあると言えそうだ。

(イメージ写真:PIXTA)
(イメージ写真:PIXTA)
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