3回目の実施となる大学入学共通テストが近づいてきた。大学入試センターは2022年12月、年明けの23年1月14日と15日に実施する、大学入学共通テストの志願者数を発表した。志願者数は51万2581人で、前年度よりも1万7786人減少。前身の大学入試センター試験の時期も含めると、5年連続の減少となった。ただ、大学入試関係者は「思っていたよりも志願者は減らなかった」と話す。志願者数から23年の受験動向を見ていく。

大学入学共通テストの志願者数は5年連続減少

 22年10月6日、大学入学共通テストの出願の受付が締め切られ、志願者数が発表された。実施する大学入試センターによると、志願者数は51万2581人で、前年よりも1万7786人減少。減少率は3.4%だった。志願者数の減少は大学入試センター試験だった19年から続いていて、5年連続だ。

 志願者のうち、現役生である高等学校卒業見込み者は43万6873人で、前年に比べると1万2496人、2.8%減少した。志願者全体に占める現役生の割合は85.2%で、前年をわずかに上回った。出願があった高等学校等数は4453校で、前年よりも11校減少している。

 この現役生の志願者減は、高校3年生の人口の自然減が影響している。23年3月の高等学校卒業見込み者は96万9484人で、前年よりも2万6941人減少した。卒業見込み者のうち、共通テストを志願する割合は45.1%で、志願者数に換算すると1万2150人の減少になる。つまり、現役生の減少分は、ほぼ自然減によるものだと言える。

 一方で、浪人生の志願者は7万1642人で5143人減少し、減少率は6.7%だった。これは、前年の減少率5.2%を上回る数字だ。志願者全体に占める割合は14%で、過去最低となった。センター試験が最後に実施された20年度の浪人生志願者が10万人以上いたことと比べると、大きく減っているのが分かる。引き続き現役志向が高まっている状況だ。

志願者は「予想よりも減少しなかった」

 共通テストの出願が締め切られた10月6日の時点では、志願者数は前年に比べると2万2000人以上少なかった。大学入試に関する研究や情報提供を行っている大学通信(東京・千代田)情報調査・編集部の井沢秀部長は、10月時点では「志願者は大幅に減少するのではないかとみられていた」と話す。

 「総合型選抜や学校推薦型選抜などの、いわゆる年内入試で進学先を決める生徒も多いので、共通テストの出願は減っているのでしょう、というのが10月時点での大方の見方でした。それが最終集計では減少幅は人口の自然減の範囲でしたので、予想よりも減少しなかった印象です」

大学入試センター(東京・目黒)
大学入試センター(東京・目黒)

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