精神科医Tomy先生が、ビジネスパーソンのさまざまな悩みに向き合う「心のコリを解きほぐそう」。今回のテーマは「職場へのカミングアウト」です。多くのビジネスパーソンが今、家族の介護や病気による通院、あるいは自身のセクシュアリティー(性的指向や性自認)など、プライベートな事情を抱えながら働いています。どのタイミングで、どのように上司に伝えればよいのか、Tomy先生がアドバイスします。

(写真:PIXTA)
(写真:PIXTA)

周りに迷惑をかけたくなくて、なかなか言い出せません

 今回のテーマは「職場へのカミングアウト」。悩みを打ち明けてくれたのは、化粧品販売業に携わる、42歳の友美さん(仮名)です。

 30代の後半に母親ががんになり、数年間の闘病の末、他界しました。母親を見送った直後に、今度は父親の認知症が発覚します。友美さんは一人っ子のため、一緒に介護をしてくれる兄弟はいません。

 一方で、仕事はどんどんやりがいが増し、友美さんは仕事がより楽しくなってきています。1年ほど前からは、後輩指導も任されるようになりました。友美さんが仕事の日はヘルパーの方に父親の介護をお願いしていますが、父親の病状は少しずつ悪化し、仕事中にも連絡が入るようになりました。販売業なので、テレワークをするわけにもいきません。

 父親を施設に預けることも考えたそうですが、まだそれなりに会話もでき、自分のことも認識している父親と離れる覚悟は決まりません。施設に預けたら、さらに症状が悪化してしまうのでは……という不安もあるようです。

 「もう少しだけ、父と一緒に暮らしたい」――。そう思う友美さんは、そろそろ職場の上司に現状を報告すべきだろうと考えています。しかし、せっかくやりがいを感じている仕事から外されてしまうのではないか。自分のプライベートな事情でチームのメンバーに迷惑をかけてしまうのも申し訳ない。同僚に変に気を使われると、居心地が悪くなってしまう可能性もある。さまざまな懸念が頭をよぎり、なかなか上司に言い出せません。

 「Tomy先生、やはり職場には伝えたほうがいいのでしょうか? 上手な伝え方はありますか?」

次ページ ストレートに希望を伝えるのが一番なのよ