精神科医Tomy先生が、ビジネスパーソンのさまざまな悩みに向き合う「心のコリを解きほぐそう」。今回のテーマは「セカンドキャリア」です。長く1つの場所にいると、マンネリや停滞が気になってきます。次々と環境を変える同世代の人たちを羨ましく思ってしまうことも……。しかし、今の環境に大きな不満があるわけではない。40歳を前に、新卒から14年間勤めた会社を辞めて転職すべきかどうか悩む男性に、Tomy先生がアドバイスします。

私の本業は精神科医です。ただ、今後は副業の執筆業をメインにしていこうかと考えています。医師としての勤務時間を減らし、記事や書籍の原稿を執筆する仕事を増やしていくことを検討しています。
もともと、自分の考えをより多くの人に伝えたいと考えて始めた執筆の仕事。最初からここまで広くやっていけるとは思っていませんでした。しかし、やり始めたらアイデアが広がり、こうして新たなキャリアが開けました。もし最初から医師を辞めて退路を断ち、「文筆家になるんだ!」と朝から晩まで原稿を書いて出版社に応募したとしても、恐らくうまくいかなかったでしょう。
環境を変え、キャリアを重ねる友人に焦りを感じます
今回のテーマは「セカンドキャリア」です。悩みを打ち明けてくれたのは、人材派遣会社の総務部でリーダーをしている、38歳のけんじさん(仮名)です。
大学時代から特にやりたいことがあったわけではなかったというけんじさん。それなりの給料がもらえればどこでもよかった。たまたま受かった中堅の人材派遣会社に就職しました。
器用な性格で同期の中ではわりと早く昇進し、リーダーとなりマネジメントも経験します。プライベートでは妻と2人の子どもがいて、夫婦共働きで、金銭的には余裕があります。
はたから見ると何不自由ない生活を送っているように見えるけんじさんですが、35歳を過ぎた頃から、漠然と不安やマンネリを感じるようになりました。成長が頭打ちになった感覚を抱き始めます。何より、同世代の友人たちが転職を繰り返し、貪欲にキャリアを積んでいるのを見ると焦ってしまいます。
「人生100年時代、この年齢で1社しか経験していない自分は、この先ビジネスパーソンとして社会に通用していけるのだろうか……」
はやりの「リスキリング」をやってみようとスマホアプリでビジネス英会話のレッスンを始めましたが、あまり身が入りません。
40歳を過ぎたら、転職はますます厳しくなってしまうのではないか。思い切って転職するなら、きっと早いほうがいい。でも……人間関係も待遇も申し分ない今の環境を捨てる勇気はありません。転職したら今より給料が下がる可能性があり、人間関係もまた一から構築していく必要があります。重い腰がなかなか上がらないと、けんじさんは言います。
「このまま今の会社で働いていても大丈夫かと、将来が不安になります。でも、今の環境も捨てられません。転職すべきか今の会社にとどまるべきか……。僕はどうしたらいいでしょうか?」
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